強化合宿に久しぶりに参加した。
全参加はWOC2005愛知前の合宿以来、スタッフとしての準備で迎えた合宿だけど、2日間オリエンテーリングとトレーニングのことばかり考えて過ごす時間はとても贅沢に感じる。久しぶりにオールアウトに近いトレーニングをこなし、皆で風呂に入って大盛りの飯を喰らい、まだ暗い早朝からの朝練と、ガッツ溢れる2日間を過ごした。
さて、初日は岡崎総合運動場のトラックで3000m走タイムトライアルを行なった。
「トラックのタイムはオリエンティアにとって重要か?」
古今東西常に議論の的になるこの命題は昨今のNTで再び盛り上がっているテーマだ。
大陸系でのWOCを連続して迎え、走力という要素が今まで以上に包み隠さず浮き彫りになったことが一つの要因だろう。あるいは代表レベルの選手のトレーニング量が、中堅国としては決して見劣りしないレベルまで達しているにも関わらず予選通過の壁を越えられない現状に、避けて通れない一つの突破口として見えてきたのかもしれない。
アメリカやカナダの選手が多く参加する、Attack pointというブログでも、幾度となくオリエンティアの走力について議論がされている。明確な結論は見ないが、多くのオリエンティアが、どの程度のタイムを出せば自分は成功できるのか、明確なマイルストーンを欲しがっているのだろう。
世界のトップオリエンティアの記録を紐解くと、かなりのばらつきがあることに気付く。
3000mを8分そこそこで走る選手もいれば、9分近くのタイムしか持たない選手もいる。大まかにいって同じ実力のオリエンティアでも3000mで最大40-50秒近い差がある。それは世界でも日本でも同じである。
トップレベルのオリエンテーリングといっても、大きく分ければ「ナビゲーションの要素」と「フィジカル要素」がある。後者の「フィジカル要素」も心肺機能、スタミナ、筋力、バランス感覚、運動神経、様々な要素の総合力として表される。3000m走はその中の一つ「心肺機能」を表すVOmax値を示す指標にしか過ぎない。
「風が吹けば桶やがもうかる」といったらやや誇張が過ぎるが、3000m走のタイムから見たオリエンテーリングの実力は、かなり曇ったガラス越しに見えるぼやけた像でしかない。
しかしながら、総論としてはその関係は無視できない。3000m8分のチャンピオンも8分50秒のチャンピオンもいるのは事実だ。9分でももしかしたらチャンピオンになれるかもしれない。しかし9分半の選手はいない。10分では可能性はほぼ0と言い切れるだろう。
今日本は日替わりでトップが変わる混戦状態だ。しかし、3000mのタイムはやはり9分20秒~10分に広く分布する。ほぼ世界+60~70秒に位置する。割合で示すと、12-15%増程度になる。
これは日本チームが良いレースをした時のぎりぎりの巡航スピードとほぼ一致する。個々の選手ではばらつきはあるが全体として見ればつじつまは合っている。
では皆があと3000mで‐5%で走れるようになったら?? オリエンテーリングも‐5%で走れるのではないか? そう考えるのは自然な論理だろう。
こうして考えると、3000mのタイムを絶対的な指標として使おうとするのは適切でない。相対的に3000mの速い人、遅い人では、世界で成功するための目標値に幅が出てくる。そしてその特性は、その人のトレーニング方法によるばらつき以上に個人の資質も影響しているように思う。
つまり予選通過をするための目標となる3000mタイムは、ロードに強いA君にとっては9分20秒かもしれないが、足は遅いといわれても森での動きが機敏なB君にとってみれば10分で十分かもしれないのである。
仮に今3000mを9分40秒で走るA君がいたとしよう。1年後の予選通過を目指し、脚を磨いて3000mのタイムをあげることを目指してトレーニングするべきか、あるいはひたすら森で走って、今の3000mタイムでもB君タイプの選手になることを目指すべきか。
どちらが正しいかはわからない。しかしトラックのタイムをあまりに重視してしまうと、後者の選択肢が無視され、前者ばかりが注力されてしまう。それがトラックタイム重視が孕む危険性なのだ。
本来はその中間に最適な選択があるのかもしれない。森での走りを磨き、結果として心肺機能も強化され、5秒でも10秒でも3000mのタイムが改善されればオリエンティアとしては成功に近い道筋なのではないか。
日本チームの話に戻ると、全体で見れば3000mのタイムは若干物足りない。分布がもう15~20秒程度速いところにシフトすれば、予選通過にしても大分可能性が見えてくるように思う。そのためには、3000mのタイム向上を見易い目標の一つとして据えつつも、森での走りを磨くという我々本来の目的からぶれない様にすることが大切だ。
火曜日, 12月 04, 2007
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