6日~28日での愛知合宿が無事終わった。
仕事の都合で最終日を見届けずに東京に戻ったが、なんとか無事終えたようでなによりだ。
2010年の強化選手最初の合宿でもあった今回は、キックオフの位置づけとしてそれなりの意味があったと感じる。
今年2009年、日本チームにとっては近年最も厳しい年だっ
たといってもよいだろう。結果が全くでなかったのだ。
理由はいくらでも上げられる。選手自身、強化委員、オリエンテーリングの環境そのもの、いろいろな要因が今の日本代表の成績に影響しているのは間違いない。
その2009年を終えて、今後再浮上するためのスタートtとすべきなのが今回の合宿の位置づけだ。
幸い、夏以降も努力を怠らず、実力を徐々に伸ばしている選手がいる。またベテラン選手の復活で代表争いも昨年に比較するれば活性化してきている。まだ結果が出るには時間がかかるかもしれないが、向かい風はやや収まり、追い風を掴む
チャンスを眈々と待つべきときが着たと感じる。
そして、そんな中、いろいろな意味で非常に良いタイミングとなったのが、前強化委員長宮川氏の紹介で参加した原田正彦氏である。
原田氏は、現在立教大学の陸上部で長距離チームの指導をされているが、ご自身は早稲田大学から実業団のS&B食品、重川材木店で活躍した経歴を持つ流の長距離選手である。紹介はネット上にいくらでもあるが、一例は以下のURLを参照されたい。
早稲田時代には箱根駅伝のあの花の2区で区間賞も獲得した実績をお持ちだ。5000mが14分11秒、20kmまでの記録はもちろん、79というVOmax値は、オリエンテーリングで体力的に優れた世界のトップ選手、ロシアのアンドレイや、フィンランドのモルテンと同じレベル。また選手時代の年間9000kmというトレーニング量も、北欧の
ハードトレーニングをこなしているトップ選手とほぼ同じ量だろう。つまり競技こそ違え、我々が目指す競技レベルの世界を経験されてきた方である。
2,3度パークオリエンテーリングは走られているが、今回初の森でのオリエンテーリングを経験された。またその中で、オリエンテーリング強化選手との交流や、さまざまなQ&Aに答えていただいた。
選手にとっては、同じ持久系スポーツを極めた選手として、非常によいインスピレーションを感じたに違いない。
さて、ここからがこのブログの本題である。
僕が一番驚いたのは原田氏のさまざまなプロフィールではない。本当の驚きは2日目午前に三河高原で、ミドル用コースを私が案内しながら回った時のことである。
原田氏はたぐいまれな読図能力の素質を持ち合わせているということだ。
4.7kmup200mのコースは、比較的アップは抑えられているものの、当然強化選手向けの容赦ないコースである。添付の地図を見ていただきたい。ちなみに男子はウイニング藤沼君37分。
コースを回る前に、原田さんに基本的な尾根沢などの等高線と、植生や水系などの地図記号は簡単に説明した。しかし数分の説明でこのコースを回れるわけがないので1番から先導していった。しかし原田さんは1番まわりの地形を直ぐに理解し、2番からは原田氏自身で回り始め、とうとうほとんど自力で完走してしまった。
さすがに地形だけで進む部分ではアドバイスする場面もあったけど、ほとんどの場合、原田氏が「このへんですか」という問いに「そうです」と答え、テクニックのいくつかを教えただけである。現在地ロストしたのは1,2回だろうか。
あまりにも地図が読めているので、「山登りとか経験していますか」と聞いたがそのご経験はないよう。
僕の経験の限り、普通初心者はまず地図の示す地形と現地のそれとを感覚的に合わせるのに1年はかかる。しらばらくは等高線1本の尾根と3本の尾根を間違えるのが当たり前だ。
しかし原田さんは、この感覚がほぼ身についていた。おそらく大局的な等高線をすでにデフォルメせずに地形のままで捕らえることができるのだと思う。
例えば3⇒4の尾根のトレースはノーアドバイス、7⇒8はコントロールの円に入ってアドバイスしたのみでそこまでは全く自力。9までも全くノーアドバイス、10⇒11の道走りは一度も止まっておらず、11の惚れ惚れするアタックも後ろをついていっただけである!
ご本人は「思いの他ハードでした」と謙遜し、強化選手の斜面を下るスピードに感心されていた。もちろんタイムも強化選手の3倍近くではあるが、初めての森のオリエンテーリングでMEを回ってしまう原田氏の読図能力にまったく敬服した次第である。
現在原田氏は立教大学陸上部のコーチとして指導に力を入れていらっしゃる。ご自身の実績と、誠実な人柄かつ聡明な方なので、きっと良い指導者になのだと思う。だけど、素晴らしい持久能力と、読図能力の素質は僕らから見るそこはかとないポテンシャルを感じざるを得ない。まずは余暇としてでも是非是非オリエンテーリングに挑戦して頂ければ、と思う次第である。
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