後ろの集団に声をかけた後、それまでのキロ3分40のペースからギアをトップに入れてスピードを上げた。
当然のように雄哉が軽いフォームですっと前にでて集団を引っ張っる。後ろの集団の気配はほどなく消えて横に並ぶ3、4人だけになった。
森を覆う漆黒の闇の中、点々と照らされたランニングコースはスピード感が増幅される。F1ドライバーの気分で心地よい左右のカーブに身をゆだねて脚を回転させる。
半周ほどのところでジョージがギアを入れて雄哉に並ぶ。こちらもギアをあげるがペースはあがらない。こちらをあざ笑うかのようにジョージと雄哉は軽々としたペースで離れていく。
ちくしょう、ともがいて手足を廻しているうちに、隣にいたもう1人もすっと前に出た。
だれだ?
横を向いて顔を確かめるが分からない。しかし幼い顔をしながら、脚は軽やかに回転して前の二人にすっと追いついていく。
前の3人はじょじょに小さくなっていく。残り1分、最後のスパートでは、スピードの差、まあ言ってみれば馬体の生きのよさの違いを見せつけられてゴールした。
時計を見ると、約1200mの1周最後のラップはキロ3分10秒弱。10秒以上前にゴールした3人はキロ3分前後のはずである。
雄哉のスピードはまだしも、ジョージのスピード向上には少々驚いた。2年前は3000mで10分の壁を感じていた選手であるが、今はおそらく9分30秒も視野だろう。
そして、もう1人。幼い顔の彼は?桐朋高校1年生佐藤君だった。
高校1年生? はじめは負けた悔しさから驚き、そのうち彼のポテンシャルへの驚きになった。
高校1年といえば、JWOC代表の深田、麻布の遠藤などと同じ世代である。彼らの世代にまた1人大きな武器をもった選手がいる。
国沢氏の声かけで渋谷に集まった、高校生大学生約20人。
トレーニングを共にする機会は、上を目指す選手にとっては当たり前である。が、その当たり前を若い選手には十分与えられてない。そのチャンスを提供する貴重な一歩でもあった。今後こうした草の根的なジュニアへの活動は是非継続したい。いや継続すべきである。今後のWOC、2012年、2015年と考えた時、彼らのポテンシャルをいかに育てるかが最も重要な課題であることはいうまでもないのだから。
定時退社を敢行してかけつけた。
その甲斐はあった。おかげで慌てて会社を出て財布を忘れてきたおまけはあったが。。。。
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