A5 オグナほたかスキー場 12:33:39 75km 総合24位
デポジットのエイド。ここまでは13時間はかかると思っていたので、想定よりは良いペースだ。このままのペースだと22時間の目標は達成できるかもしれない。
今回も用意していたToDoListメモに従って、アミノバイタルを飲み、後半用の食料と眠眠打破をカバンに入れる。寒さは感じておらず、着替えはしないことにした。座ると落ち着いてしまい走る気が失せそうなので立ったまま作業。
自分の直ぐ後に、武尊山以降何度か抜きつ抜かれつしている長身の若い選手が到着した。ちょっとさわやかな彼は鈴木祐児さんというお名前の選手。二三会話をして後半のお互いの健闘を祈った。僕の方が先にエイドを出た。
エイドを出るとあたりは薄暗くなっている。森に入るとすっかり夜、ヘッドライトを点灯する。少し登ると、その後は比較的快適な下りがずっと続き、70Kの選手を抜きながら走る。沢沿いの道なのでところどころ泥濘がひどい。なるべく固い所を選んで走ってたつもりだが、暗い中よく地面が見えずに、一度着地を失敗し、見事に深い泥濘にはまってしまう。勢いで足を抜くと靴が脱げてしまった。慌てて手持ちのライトで足もと照らして靴を探す。幸いすぐ見つかったが深くはまった靴を出すのは一苦労だ。取り出した靴の泥を払って履きなおす。2,3分のロスだろうか。
気を取り直して下るとやがて舗装道に出る。残り50km地点。少し舗装道を走って沢合いの砂利道を登り返す。それほどの傾斜ではないので走ったり歩いたり。まだ調子は悪くない。やがて下り基調になりA6が見える。
A6 赤倉林道分岐 13:59:49 84km 総合20位
結果的にいうと、ここがレース中一番順位が良かった。自分の感覚でもここまではほぼスタートから同じペースで走れていたと思う。この後疲労や胃腸のトラブルで徐々にペースを落としてしまいその分順位も落ちた。
エイドを過ぎて砂利道を緩やかに下る道が続く。やがて70kmコースとの分岐を超えて右に道は続く。まだまだ快適に走れ、途中1人抜かす。恐らくここが最高順位点だ。砂利道が終わり残り39Km地点を過ぎると、舗装道を緩やかに登り返す。
ここの登りから疲労感を感じるようになる。走ったり歩いたり。無意識に後ろをちらちら振り向いてしまう。弱気になってる証拠だ。さっき抜いた選手の明かりが少しづつ近くなってる。残り35K地点のキャンプ場でライトはすぐ後ろに来ていた。ところがライトは一つではなくどうやら3つある。
自分のペースが鈍ってる証拠か。意識して維持するが、すぐに2つのライトに抜かれる。A5で一緒だった鈴木さんと、女子トップの大石さんだ。二人とも談笑しながら軽々と走ってる。とてもついていけるペースじゃなかった。(実際ここから1時間30分近い差がついているが、そのくらいの差を感じるペースだった)
2つのライトはほどなく登っていくシングルトレイルの斜面に消えていった。
もう一つのライトはA6の後に抜いた選手だった。こちらの選手には一度追いつかれたが、ペースは変わらず、こちらが少し先行した状態が続く。だいぶきつくなっていたので、近くに選手がいるのは、ペースがずるずる落ちない点でありがたかった。
300mほどの標高差の斜面は随分長く感じたが、やがて尾根に乗り、斜面を下り始めた。途中かなり急な下りもあり、脚の大腿二頭筋が悲鳴をあげる。最後まで持つか不安になってくる。それでも後ろの選手のライトは徐々に遠くなってきたので、そのことに勇気づけられて一歩一歩下る。
舗装道に出たあたり、W3まであと2キロくらいのところで急に空腹を感じる。ところが下りの衝撃のせいか胃が気持ち悪くなりはじめた。ずっと食料にしてきたドライフルーツを口にする気がしない。このままだとペースが落ちてしまうので、最後のエイドまで残す予定だったアミノバイタルのゼリーを補給する。
W3 樹恵里前 101km 16:18:46 総合21位
水を少し補給して、直ぐに次に向かう。舗装道を登りながら、胃の状態が悪くなってることに不安を覚える。手持ちの食料で今身体が受け付けてくれるものがない。幸いスポーツドリンクが少しあるので、そのわずかなカロリーくらいだ。次のエイドまでもてばよいが。
この区間はほとんど前の山と同じように進んだ。つまり後ろに見える位置に後続のライトがあり、それに追われるように登り、下る。 下りで一人、止まっている選手を抜いた。ありがたいことにハンガーノックにならずにA7につくことが出来た。
A7 太郎大日堂 106km 17:32:17 総合20位
最後のエイドだ。ここでしっかり補給しなければならない。幸いうどんは体が受け付けてくれたので暖かいうどんをよく噛んで食べる。コーラも補給できた。3年前のUTMFにやはり胃をやられた時は、少し良くなってパンを食べた経験があるので、パンを2つ3つほどもらっていく。
エイドでピットインした時間は6分程度だったが、その間に5,6人の選手がきた。その中には2位の女性の加藤さんもいた。皆、僕より元気そうだ。全員に抜かれる形でエイドを出た。
直ぐにペースを上げられずとぼとぼ歩くと、前のライトの集団は徐々に小さくなった。ペースがだいぶ鈍ってるなあ。大分弱気になってくる。でも最後4時間かかっても22時間は切れる。なんとか我慢して行こう。
ゆるい傾斜のロードが延々と続く。普通なら軽く走れる傾斜だが、今の状態だとすぐ歩いてしまう。でも歩くには緩すぎる。ちょこちょこ走っては歩くを繰り返す。
W4 浅松山 110km 18:27:37
ここは水も不要なのでスルー。
やがて砂利道になったところで、前に一人の選手のライトが近づいてきた。ちょっと勇気づけられる。並走すると、その選手はA7の前で一度抜いた選手だった。眠気がひどくペースが落ちたらしい。自分は胃の調子がおかしい。お互いトラブルを抱えて何とか進んでいる。やがてその選手とは別れ、自分のペースで前に先行する。
その後コースは砂利道から森に入って軽いアップダウンの道が続く。本来快適なトレイルのはずなのに、ぺースは上がらないので辛いだけだ。
徐々に空腹を感じてきた。パンを少しかじってみるがまったく胃が受け付けない。ドライフルーツも、シリアルバーも食べる気がしない。残りは200mLほどの残ったスポドリだけ。しまった。考えてみればA7でスポドリをたくさんもらって補給すればよかった。そのことに気づかなかった自分を悔いた。
もうろうとしている70kmの選手を一人、一人と抜いていく。逆に120kmの選手に一人、また一人、と抜かれた。二人目は女性の選手だった。武尊山付近で一緒だった政選手だ。頑張ってください、と声をかけると元気に斜面を降りてあっという間に闇に消えた。
もう空腹で脚が動かない、という状態になる。残り7kmくらい。しょうがないので小さな尾根の上に座って残りのスポドリを全部飲んだ。もうこれ以上胃に入るものはない。
立ち上がって走ると少し元気が出てきた。下りを走ることができる。ペースを少しつかんでしばらく行くと、女性の選手を一人抜いた。山之内選手だ。前半非常に良いペースだったみたいだが、何かトラブルがあったのだろうか。一声かけて追い抜いた。
W5 124km 20:51:10
水を少し飲んで進む。少し胃が良くなった感じがして、ドライフルーツをほんの少し口に入れる。よく噛んでみると飲み込むことができた。また、少し元気も出た。
最後のエイドからは、想像以上に困難な急な下り斜面が多い。最後にこれでもか、という気持ちであるが、もうここは根性で進むしかない。足場の悪い急斜面で脚の筋力はもう期待できないので、パチンコ玉のように木から木に身を寄せ手もつかって降りていく。
やっと平らな集落の道に出た。最後のあぜ道を過ぎ、ロードを走って橋を渡る。ああこれでおしまい!
Finish 129km 21:38:52 総合23位 男子20位
22時間を切れたのは想定外だった。最後のA7で一緒だった人は21時間代の前半だから、最後の山で20~30分ペースが鈍ったことになる。でもトータルすれば良く力を出し切れたと思う。
真夜中の冷える空気の中、靴下を脱ぐのに本当に苦労した。でもその後のお風呂はこの上なく気持ちよかった。
結果的に年代別の順位は4位。3位まで表彰なので、UTMF2015に続いて1位差で表彰を逃した。良いレースの分、終わってみると少し欲も出るけど、やはりこの順位が実力かな。
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