土曜日, 10月 13, 2018

武尊山スカイビュートレイル2018 120K その3 レース後半

A5 オグナほたかスキー場 12:19:17  17位

ここで14分のゲイン。今の区間は単純にペースがおちてゲインが減った。
恒例の「To Do List」を見ながら、食料の詰め替え、アミノバイタル補給、眠眠打破補給をする。暖かいそば(ラーメンだったかもしれない)を食べ、昨年と同じ約8分でエイドを出る。

山に取りついて森に入ると急に暗くなる。前のエイドでヘッドライトを用意し忘れ、まだカバンの奥底にあることに気づいた。まだぼんやり明るいので、次のエイドまでは手持ちライトでいけると判断し、ヘッドライトはそのままにした。

やがて53あたりから道は沢沿いの快適な下りトレイルとなる。この区間は、この大会でも最も好きな区間の一つである。リズム良く緩やかな下りトレイルを走って気分も乗ってくるところだ。
やがて舗装道に出て、49の分岐から林道を登り返していく。体力的な辛さはまだ感じず登りを2/3走って1/3歩くを繰り返す。昨年はもう少しつらい記憶があったので、今年はきっと悪くないペースだ。

A6 赤倉林道分岐 13:40:57 14位

ここで19分のゲイン。いっきに5分タイムが縮まった。よし、いいペースだ。
その分少し焦ってたのかもしれない。この日3つ目の想定外が発生する。

エイドで食料補給や水分をとって、走り出し、エイドの光が届かないところまできて、ヘッドランプをザックから取り出すことを忘れていたのに気づく。慌ててカバンを開けて探そうとするが、暗くて見えない。ここで手持ちライトがないのに気づく。エイドに戻り、給水の時に荷物を置いた付近を見回す。ない。無意識にカバンにしまったのかと中身を全部出して探す。ない。エイドを出る時に走りながら落としたのかも、、、ない。

なぜか手持ちライトがない。時間はどんどん経過する。。。
ここで色々な考えが頭をめぐり、一つのかけに出た。このまま探すのに時間をかけるのか、それとも残りのレースをヘッドランプのみで走るのか。

その時は1分1秒が惜しい心理に駆られていた。結局、手持ちライトを諦めてヘッドランプだけで残りのレースを走ることに決めた。
この間ロスタイムは4分程度である。

結果的に正しい選択だったろうか。いや、冷静に判断してもっと時間をかけて探すべきだったと思う。皮肉なことに、それはレース最後のアクシデントで明らかになってしまう。


その先はずっと10キロほど林道。はじめ下って、後半は緩やかに登る。昨年は38の登り始めからペースが鈍り何人か選手に抜かはじめたポイントである。
今年の方が少し元気に感じる。登りも走れる割合は高かったと思うが、それでも林道の終点35付近で後ろから近付いてきたライトにあっさり抜かれた。その選手の登りは全然おっかける気がしなかった。山道に入ってライトはどんど斜面の上に離れていき、やがて闇の中に見えなくなった。

自分は登りのペースは遅いので焦らず登ることにする。それでもまた眼下に後続の光が見えるのではないか、とついつい振り向く回数が増える。疲労が蓄積してきたのか、少し気持ちの面で弱くなってきた証拠である。

登りがようやく終わり、山の斜面を下るコースとなる。まだ大腿二頭筋は大丈夫なようで比較的自分のリズムでステップをきって下ることが出来る。
やがて32あたりで、先ほど登りで抜いた選手を抜き返した。下りは苦手らしい。一人で淡々と林道とロードを快適にペースをあげてエイドに向かった。


W3 樹恵里前 15:59:56 14位

ここで19分のゲイン。前エイドのロスを思うとペースは悪くない。昨年はこのあたりから胃腸の調子を崩したが、今年はまだ大丈夫そうだ。ただ胃を刺激しないように、なるべく飲料やゼリーで栄養分を補給し固形物は減らすようにする。

ここからのだらだら登りはさすがにもう走れなかった。歩くしかないので辛くはない。淡々と脚を前に出して進むのみ。先ほど抜いた選手に再び抜かれるだろうか、何度か後ろを振り返るがライトが見える気配はない。真っ暗闇な林道を一人でひたすら登るだけ。

頂上までは、この日最後の急斜面、と自分に言い聞かせて登った。(A7後の山はだらだら登りだけなので) そしてとうとう26過ぎの頂上を超えると今度は急な下りの連続である。このパートの下りは容赦ない急斜面で、昨年の記憶は辛いことしかなかった。ところが今年は脚の筋力が辛うじて残ってる。リズムを保って下ることができた。

ところがここでまたまた第4の想定外。

再びコースロストである。

25付近か。つづら折りの急斜面からなだらかな巻道に入ると、しばらくしてマークがないことに気づいた。慌てて戻ると、つづら折りで下りの分岐で矢印の看板を見過ごしたのだ。多少霧もあったが、手持ちのライトがなく、ヘッドライトで限られた視野しか見てなかったことも災いしたか。
ここのコースロストは4分くらいである。

本日2度目のロストで少し気分が落ち込むが、幸いその間に抜かれた気配は感じない。エイドまでは残り2,3kだった。

A7 太郎大日堂 17:14:08 14位

ここで18分ゲイン。下りのロストの4分を考慮すればペースは昨年よりかまだ速い。昨年はここから失速したので、このまま崩れなければ21時間の目標は達成できるだろう。

エイドは前にも後にも一人。
エイドで声をかけてくれたボランティアの青年は、TRIMTEXのウエアを着ていた。「めずらしいですね」と聞くと、最近は結構人気ですよ、と教えてくれた。その方はリカちゃんのこともしっていた。

「田島さんとは若い頃一緒によく森を走ってたんです」

彼女と知り合いだと、色々なところで繋がりを見つけることができる。TRIMTEXも彼女が大いに広げてくれたのかな。

直前にロストしてるので、それをリカバリーしたい気持ちもあった。会話を早々に切り上げて、4分弱でエイドを後にする。足はまだ元気に動くので前に早く進みたい気持ちもあった。

ここからは延々と林道のだらだら登りになる。走るか歩くか微妙な傾斜だが、足の筋力がもう残ってなく殆ど歩いたと思う。歩くとあまり身体に負担もかからないので、少し間延びした時間帯になる。

そのうち、W4まで半分以上過ぎた頃か、後ろから遠くにチラチラライトが見えてきた。つづら折りを折り返す毎に少しづつ距離が縮まるのが分かる。W4までは何とか抜かれない様に頑張ろう、と時計を見ながら少し気合を入れなおして歩くスピードを速める。

W4 浅松山 18:05:57

後続のライトの追いつかれる直前にW4についた。
ここでは時計を見なかったが、あとで確認すると昨年より22分速い。

追いついた選手は、今までレース中会ったことのない選手だった。おそらく後半にペースをあげて順位をあげてるのだろう。「登り速いですね」というと、「えっそうですか?」と少し驚いていた。

エイドには水しかなかったので、持参したポカリスエットの粉末を入れる。後半の胃の不調を予想してエネルギーをとれる飲み物にした。

もう一人の選手は早々にエイドを出ていった。ほどなく僕も出て前のライトを追って登っていくが、ペースが相当違うのかライトはみるみる小さくなっていく。
この区間、林道はずっと工事中で作業用のコーンが反射板のようにチカチカあちこちで光ってる。ところがレース用のマークは見当たらないことに気づく。一本道だし前の選手もどんどん登っているし、昨年の記憶でも林道はW4よりしばらく続いていたので、あまり深く考えずにそんまま林道を登っていく。

暫く、まったくひどい泥濘の道だった。やがて泥濘から抜けて林道の工事も終わり、山の中の細い道になっていく。ところがマークがあいかわらず見当たらない。思い返せばエイドから一度も見ていない。暗闇の中左右の木を一本一本注意深く照らして反射板やマーキングを探すけど見当たらない。

今日は既に2回コースロストをしていたので、少し自分に自信を無くしてたのだろう。

思い返してみると、W4からずっと一本道の林道を登ってきたつもりだが、実はどこかで分岐があったり、あるいは林道からはずれて山に入る矢印を見落としていたのではないか。いや、そもそもW4の出だしの方向を間違えたとも限らない。
暗闇の中でポツンと立ち止まり、そういうミスの可能性に可能性をめぐらせはじめた。そして、急激に自信がなくなってきた。

「戻ろう」

そう決めて、今きた泥濘の道を下りはじめる。時々振り返りながら分岐や矢印の看板がないか確かめながら。しかしどこにも看板も分岐もマークもない。いくつものつづら折りを曲がってどんどん下っていく。とうとうW4が見えるくらいの位置まで戻ってきた。そこで一人後続の選手が登ってきた。

声をかけると、W3の手前で抜き返した選手だった。
「この先工事中なのですが、ずっとマークがないんです。」

そう話すと

「でもエイドからこの方向しかないし、しばらく林道のはずですよ」
ここまで戻って確かに分岐がないということは、やはり間違ってなかったのか。
狐につままれたような気分になったけど、彼はそのまま登っていくので、自分も一度登って降りてきた道をもう一度行くことにした。

「しばらく酷い泥濘なんですよ」
「でも足跡はありますね」

またしばらく登ると見覚えのある林道の終点にきて山道に変わっていく。

「さっきこの辺りまではきたんですよ」

そういいなかがら暫く進む。
やっぱりないかな、、不安が過る。でも、二人でいる分いくらか先ほどより冷静である。

「あ、あれじゃないですか」

相手の選手のライトは相当に明るくて、だいぶ先の木にぶら下がる白いものを明るく照らした。確かにマーキングだ。

「そうか!さっきもう100m先にいけばよかったんだ!」

ホッとした気分と同時に、なんだよ、マーキングをもっとつけるとか、せめて工事区間はマーキングをつけないので注意、とブリーフィングで伝えるとか、してほしかったな、と少し怒りが込み上げてきた。

これが第5の想定外の顛末。結局17から16付近にいって、一度17に戻り、また16にに行ったことになる。どのくらいロスしたろうか。感覚的には15分から20分くらいかな、とにくかこれで21時間は無理になった。。。でも昨年のタイムを更新するチャンスはまだあるはず、、、と色々ぐるぐる頭に回りながら、少しづつ自分を落ち着かせる。

一緒に登ってる選手とは少し会話しながら進んだけど、やがて少しづつ僕の方が先行して、一人で走り始める。

すると第6、この日最後の想定外の前兆が現れた。
浅松山付近の14あたりだろうか。一人で平らなトレイルを走ってる時に、ふっと、ヘッドライトが消えた。
ヘッドライトしかなかったので、真っ暗になる。慌てて歩を止めた。電池切れか。
まずカバンから予備の電池を探す。幸い月明かりがあるので作業は辛うじてできた。がさがさしているうちに、先ほどの選手に抜かれる。
電池交換しようとおもったが電源ボタンを押すとライトはついた。どうも接触不良だっとようだ。なんだ、とザックにまた荷物を戻して走り始める。

暫く走って、どのくらい走ったろうか。またふっとライトが消えた。慌てて止まって電源ボタンを付けると、すぐについた。またしばらく走るとまた消える。ボタンを押すとつく。。。。何度となく繰り返す。その間隔は徐々に短くなっているようだった。

13,12,11,10あたりは、比較的細かいなだらかな起伏のシングルトラックを進むコースで、足場も悪くない。夜なので景色は分からないが、走りやすくて良いトレイルだと思う。
ただ、ライトがたまに消えてしまうのには困った。

変なことに気づいたが、意外と人間は突然ライトが消えても、直前の残像で2,3歩先までは進めるものだ。消えた時に電源ボタンを直ぐに押せば、それほどロスにならずに走り続けることはできる。下りは少し慎重にはなったが、そのうちライトが消えても焦ることなく走り続けられるようになった。

それよりも完全に消えてしまったらどうしよう?そうしたら70Kの選手についていくか、スマホのライトしかないな、、、。

途中、先ほどの選手にまた追いついた。
脚の筋肉が限界にきており、下りが走れないらしい。少し声をかけて先に行かせてもらった。
それ以外にも何人もの70Kの選手を抜く。皆脚が限界まで来てるのだろうか、登りよりも下りで苦戦している選手が多いように感じた。
「頑張りましょう!」
なるべく声をかけて抜いていく。

こちらは、走るリズムも上がらないけど、失速もしていないい。そろそろいいかげんこのトレイルも飽きてきたな、と思う頃に、W5のある尾根に乗り、遠目にぼんやりエイドの明かりが見えてきた。

W5 雨乞山 20:37:11

ここでも時計はもう見なかったが、後で見ると昨年からのゲインは13分に落ちていた。15分以上ロスしたことを考えると、ペースはあがってはいるのだが。

最後のエイドはメダリストがあったので、美味しく頂いた。エイドの方の「元気出してください」という言葉にも勇気づけら、気持ち的に元気になる。さあ、残りはあと5km!

ちょっと登り返してから最後の難所、5付近の急斜面の下りになる。ここは、あまりにも急なので、パチンコ玉のように左右の樹々に掴まってスピードを殺しながら下らなければならない。
ところがここに来てライトが頻繁に消えるようになっており、ほとんど1分に1回消えてしまう。ボタンを押すと復活はするが、急斜面を手足を使って降りる場面では、さすがに怖くてペースを落とさずにはいられなかった。

なんとか、難所を超えて下り道は緩くなり、沢沿いのガレ道になる。ここではもうライトは30秒に一回は消えた。逆にもうほぼ定期的に消えるので、消えてつけるのが一つのリズムになって、ペースには大きな影響なく走り続けた。
2付近で集落に入り、裏山のようなトレイルを超えて、あぜ道を抜けるといよいよあと1kmである。大きな橋も見えてきた。
昨年はこの光景に感動したっけ。あの橋を渡ればフィニッシュにつく。
そしてとうとう橋を渡る。レースがもう終わってしまうんだ、という寂しさに急に襲われた。


フィニッシュ 21:25:19 15位 総合17位

最後はまったく時計は見なかったので、フィニッシュでようやく時計を見ると、昨年より13分速かった。いくつもの想定外、特に最後のロストがあったけど、タイムは少し縮めることができた。反省点はあるけど、合格点だろう。

順位も少し上がった。でも年代別は昨年と同じ4位。残念ながら表彰はまた逃した。

きついコースだけど充実感の大きい大会だ。よくここまで準備できたな、と我ながらゴール後に一人目頭が熱くなった。

昨年はフィニッシュ後の脱力感と筋肉痛で暫く動けず、風呂前に体が冷えてしまったので、今年は早めに荷物を引き取って風呂に行く。足の爪がひどいことになっていたけど、それ以外の筋肉痛は想定の範囲だ。風呂から上がって体育館に戻りとりあえず仮眠した。

反省と今後

今年のレースは、体力的には良く準備できていたと思う。昨年悩まされた胃腸の不調もなく、ペース的には2,3%は早く進めていた。
残念ながら、コースロスト3回、ライト紛失とライトの消灯による失速などトラブルがあった。もっともこれは事前の準備で解決できる部分もあった。

一つは、ザック。未だにノースフェースのマーティンウイングの古いタイプを使っており、全面のボトルポケットがないタイプ。水を背面に入れるとどうしても落とすリスクがあるし、また前面にポケットが少ないので、レース中後ろのカバンを開ける回数が増える。それだけ紛失リスクは上がるし、無駄な動作も増える。
今の時代主流のベスト型ザックを事前に手に入れるべきだった。

もう一つはヘッドライト。後半2回のロストは、手持ちライトのロストの影響もあるが、ヘッドライトがあまり性能が良くなく、視野が狭かったことも影響してるだろう。接触不良でなんども消えたヘッドライトも、レースの賞品でもらったものであり、それほどグレードの高い製品ではない。後半のレースペースを意識するなら、やはり輝度を高く保てる製品をもつべきであろう。

また、地図も今回は家のプリンターが壊れていた関係で、セブンイレブンで白黒印刷した地図をもっていたが、これが見にくかった。そのため夜にはカバンにしまってしまい、見ようという気が起こらなかった。地図をみていたら、もしかしたら、もう少し冷静に動けたかもしれない。これも微妙に準備の甘さが影響したかもしれない。

あと、今回の靴はモントレイルのバハダだった。UTMF2014から100km以上のレースは3回SportivaのBushidoを愛用していたが、100キロ以上にはやはり少し負担が大きいように感じ、変えてみた。本当は他のメーカも試してみたかったのだが、限られた時間で靴のリサーチができず、失敗しない無難なモントレイルにしたこともある。
結果的には失敗ではなかったが、もう少し他の靴を試してみたい。

次はUTMF2019の当選が課題、10月は少し休んで11月から半年計画で準備したい。









 

1 件のコメント:

jorgeefrrr828 さんのコメント...

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信越100mile 2022

<レースの記録を忘れていたので後から記載>  START 18:30  日没して約30分、暗闇の中スタート。序盤はスキー場の中の登りとトラバースを繰り返す。 2,30分で下りからロードに出てそこからは比較的平坦のパートが続く。1時間30分くらいで斑尾山に向けて急登が始まる。...