日曜日, 11月 12, 2006
Troy の Lost in translation
5月5日
多くのナショナルチームのメンバーが富士で合宿をこなしていたGWですが、妻の出産も近いとあって、遠征は控え、近場での散策を中心にのんびり過ごす予定でした。
ところが突然に、オーストラリア代表のTroy de Haasが、フィンランドから母国オーストラリアへ帰国する途中の短い期間、東京によっていくとの連絡が。調度いいタイミングと、彼の東京観光を案内を買って出ました。
2日間の短い滞在でしたが、代々木公園と砧公園でのジョグ、都内のドライブ、上野観光、そして(本人のいたっての希望で)広島ーヤクルト戦の観戦など、慣れない人ごみに戸惑いながらも巨大都市東京を満喫したようです。
Troyは79年生まれ。あのティエリーと同年代で、99年からAUSの代表として5回のWOCを走り、昨年の愛知ではスプリントでAUS男子個人史上最高の7位という成績を残しています。
オランダ人の父とイギリス人の母を持ちオーストラリアに生まれた彼は、2000年以降をフィンランドのクラブチームを拠点に競技に専念していた国際派ですが、現在はオーストラリアのメルボルンに拠点を戻したようです。Quiksilverというオーストラリア生まれのアパレル会社に勤務しています。Quiksilverはもともとはサーファー向けのブランドで、日本でも「Roxy]という女性向けブランドなどで有名です。
彼の会社との契約は75%の仕事で100%のサラリー。頻繁に休みを取って海外遠征をするチャンスを得ているようです。マーケッティングが仕事で今はフィンランドへの店舗展開を構想しているとのことでした。今回はスウェーデンのティオミラに出場するため、フィンランドの所属クラブに招聘されて北欧に2週間ほど遠征した帰り道でした。
Troyは、2005年の愛知大会を非常に大きなターゲットとしていたことを公言していました。3月と4月には安斉家や、三河高原の民宿に単独で泊まり愛知のテレインでトレーニングをこなした根性派です。
その成果もあってかWOCのスプリントで7位というすばらしい成績をとりました。しかし見ていた人はご存知かもしれませんが、ラス前でメダル圏内であったのに、最後に勘違いによるミスでメダルはおろか入賞も逃してしまいました。さらに、また最大の目標としていたロングで棄権したことなど、本人としては悔いの残る部分も大きかったようです。
WOC後は、オリエンテーリングに満腹状態となり、半年以上オリエンテーリングをしなかったとのこと。最近ようやく「ハングリー」になり、デンマークのWOCではスプリントに絞って上位を狙うようです。オーストラリア国内セレクションは走らなかったそうですが、昨年の実績が新コーチ「グラント・ブルーイト」にも信頼されており無成績でもスプリントの枠が与えられたようです。
ではこの冬の半年、何をしていたのか?聴いてみると、彼の興味は、「デュアスロン、トレイルラン、10Kロードレース、そしてタワーランニング」だったとのこと。
Troyは3000mが8分24、10000mも30分台前半と脚力は十分の選手。香港やシンガポールなどにも遠征して、レースに出場し、かなり上位に入って賞金を稼いでいるようです。特に最近はまりぎみなのが、タワーランニング。簡単に言えば「ビルの階段のぼり競争」アメリカやオーストラリア、アジアなどで著名な高層ビルで多く開催され、専門サイト(www.towerrunning.com)もあるようです。彼はシンガポールの大会で90階以上のビルを8分あまりで登り、3位で数十万の賞金を稼いだとのこと。今後台湾などのレースにも興味をもっていてるようです。「オリエンテーリングでは稼げないからね」とランレースに出る理由について冗談交じりで答えました。
2日間の間、トレーニングを一緒にしているときも時計はつけず、気分の向くままに走ってました。トレーニング日誌には、絶対量にこだわらず、自分のフィーリングを大切に記入していくとのこと。走らない時は1ヶ月まったく走らない(球技やバイクだけ)こともあるとか。どちらかといえばフィジカル面で天性の素質があるのでしょう。ストイックになりすぎない、おおらかな競技への姿勢に、新たなオリエンテーリングの取り組み方を見たような気がしました。デンマークでのスプリントに注目です。
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