土曜日, 10月 13, 2018

武尊山スカイビュートレイル2018 120K その3 レース後半

A5 オグナほたかスキー場 12:19:17  17位

ここで14分のゲイン。今の区間は単純にペースがおちてゲインが減った。
恒例の「To Do List」を見ながら、食料の詰め替え、アミノバイタル補給、眠眠打破補給をする。暖かいそば(ラーメンだったかもしれない)を食べ、昨年と同じ約8分でエイドを出る。

山に取りついて森に入ると急に暗くなる。前のエイドでヘッドライトを用意し忘れ、まだカバンの奥底にあることに気づいた。まだぼんやり明るいので、次のエイドまでは手持ちライトでいけると判断し、ヘッドライトはそのままにした。

やがて53あたりから道は沢沿いの快適な下りトレイルとなる。この区間は、この大会でも最も好きな区間の一つである。リズム良く緩やかな下りトレイルを走って気分も乗ってくるところだ。
やがて舗装道に出て、49の分岐から林道を登り返していく。体力的な辛さはまだ感じず登りを2/3走って1/3歩くを繰り返す。昨年はもう少しつらい記憶があったので、今年はきっと悪くないペースだ。

A6 赤倉林道分岐 13:40:57 14位

ここで19分のゲイン。いっきに5分タイムが縮まった。よし、いいペースだ。
その分少し焦ってたのかもしれない。この日3つ目の想定外が発生する。

エイドで食料補給や水分をとって、走り出し、エイドの光が届かないところまできて、ヘッドランプをザックから取り出すことを忘れていたのに気づく。慌ててカバンを開けて探そうとするが、暗くて見えない。ここで手持ちライトがないのに気づく。エイドに戻り、給水の時に荷物を置いた付近を見回す。ない。無意識にカバンにしまったのかと中身を全部出して探す。ない。エイドを出る時に走りながら落としたのかも、、、ない。

なぜか手持ちライトがない。時間はどんどん経過する。。。
ここで色々な考えが頭をめぐり、一つのかけに出た。このまま探すのに時間をかけるのか、それとも残りのレースをヘッドランプのみで走るのか。

その時は1分1秒が惜しい心理に駆られていた。結局、手持ちライトを諦めてヘッドランプだけで残りのレースを走ることに決めた。
この間ロスタイムは4分程度である。

結果的に正しい選択だったろうか。いや、冷静に判断してもっと時間をかけて探すべきだったと思う。皮肉なことに、それはレース最後のアクシデントで明らかになってしまう。


その先はずっと10キロほど林道。はじめ下って、後半は緩やかに登る。昨年は38の登り始めからペースが鈍り何人か選手に抜かはじめたポイントである。
今年の方が少し元気に感じる。登りも走れる割合は高かったと思うが、それでも林道の終点35付近で後ろから近付いてきたライトにあっさり抜かれた。その選手の登りは全然おっかける気がしなかった。山道に入ってライトはどんど斜面の上に離れていき、やがて闇の中に見えなくなった。

自分は登りのペースは遅いので焦らず登ることにする。それでもまた眼下に後続の光が見えるのではないか、とついつい振り向く回数が増える。疲労が蓄積してきたのか、少し気持ちの面で弱くなってきた証拠である。

登りがようやく終わり、山の斜面を下るコースとなる。まだ大腿二頭筋は大丈夫なようで比較的自分のリズムでステップをきって下ることが出来る。
やがて32あたりで、先ほど登りで抜いた選手を抜き返した。下りは苦手らしい。一人で淡々と林道とロードを快適にペースをあげてエイドに向かった。


W3 樹恵里前 15:59:56 14位

ここで19分のゲイン。前エイドのロスを思うとペースは悪くない。昨年はこのあたりから胃腸の調子を崩したが、今年はまだ大丈夫そうだ。ただ胃を刺激しないように、なるべく飲料やゼリーで栄養分を補給し固形物は減らすようにする。

ここからのだらだら登りはさすがにもう走れなかった。歩くしかないので辛くはない。淡々と脚を前に出して進むのみ。先ほど抜いた選手に再び抜かれるだろうか、何度か後ろを振り返るがライトが見える気配はない。真っ暗闇な林道を一人でひたすら登るだけ。

頂上までは、この日最後の急斜面、と自分に言い聞かせて登った。(A7後の山はだらだら登りだけなので) そしてとうとう26過ぎの頂上を超えると今度は急な下りの連続である。このパートの下りは容赦ない急斜面で、昨年の記憶は辛いことしかなかった。ところが今年は脚の筋力が辛うじて残ってる。リズムを保って下ることができた。

ところがここでまたまた第4の想定外。

再びコースロストである。

25付近か。つづら折りの急斜面からなだらかな巻道に入ると、しばらくしてマークがないことに気づいた。慌てて戻ると、つづら折りで下りの分岐で矢印の看板を見過ごしたのだ。多少霧もあったが、手持ちのライトがなく、ヘッドライトで限られた視野しか見てなかったことも災いしたか。
ここのコースロストは4分くらいである。

本日2度目のロストで少し気分が落ち込むが、幸いその間に抜かれた気配は感じない。エイドまでは残り2,3kだった。

A7 太郎大日堂 17:14:08 14位

ここで18分ゲイン。下りのロストの4分を考慮すればペースは昨年よりかまだ速い。昨年はここから失速したので、このまま崩れなければ21時間の目標は達成できるだろう。

エイドは前にも後にも一人。
エイドで声をかけてくれたボランティアの青年は、TRIMTEXのウエアを着ていた。「めずらしいですね」と聞くと、最近は結構人気ですよ、と教えてくれた。その方はリカちゃんのこともしっていた。

「田島さんとは若い頃一緒によく森を走ってたんです」

彼女と知り合いだと、色々なところで繋がりを見つけることができる。TRIMTEXも彼女が大いに広げてくれたのかな。

直前にロストしてるので、それをリカバリーしたい気持ちもあった。会話を早々に切り上げて、4分弱でエイドを後にする。足はまだ元気に動くので前に早く進みたい気持ちもあった。

ここからは延々と林道のだらだら登りになる。走るか歩くか微妙な傾斜だが、足の筋力がもう残ってなく殆ど歩いたと思う。歩くとあまり身体に負担もかからないので、少し間延びした時間帯になる。

そのうち、W4まで半分以上過ぎた頃か、後ろから遠くにチラチラライトが見えてきた。つづら折りを折り返す毎に少しづつ距離が縮まるのが分かる。W4までは何とか抜かれない様に頑張ろう、と時計を見ながら少し気合を入れなおして歩くスピードを速める。

W4 浅松山 18:05:57

後続のライトの追いつかれる直前にW4についた。
ここでは時計を見なかったが、あとで確認すると昨年より22分速い。

追いついた選手は、今までレース中会ったことのない選手だった。おそらく後半にペースをあげて順位をあげてるのだろう。「登り速いですね」というと、「えっそうですか?」と少し驚いていた。

エイドには水しかなかったので、持参したポカリスエットの粉末を入れる。後半の胃の不調を予想してエネルギーをとれる飲み物にした。

もう一人の選手は早々にエイドを出ていった。ほどなく僕も出て前のライトを追って登っていくが、ペースが相当違うのかライトはみるみる小さくなっていく。
この区間、林道はずっと工事中で作業用のコーンが反射板のようにチカチカあちこちで光ってる。ところがレース用のマークは見当たらないことに気づく。一本道だし前の選手もどんどん登っているし、昨年の記憶でも林道はW4よりしばらく続いていたので、あまり深く考えずにそんまま林道を登っていく。

暫く、まったくひどい泥濘の道だった。やがて泥濘から抜けて林道の工事も終わり、山の中の細い道になっていく。ところがマークがあいかわらず見当たらない。思い返せばエイドから一度も見ていない。暗闇の中左右の木を一本一本注意深く照らして反射板やマーキングを探すけど見当たらない。

今日は既に2回コースロストをしていたので、少し自分に自信を無くしてたのだろう。

思い返してみると、W4からずっと一本道の林道を登ってきたつもりだが、実はどこかで分岐があったり、あるいは林道からはずれて山に入る矢印を見落としていたのではないか。いや、そもそもW4の出だしの方向を間違えたとも限らない。
暗闇の中でポツンと立ち止まり、そういうミスの可能性に可能性をめぐらせはじめた。そして、急激に自信がなくなってきた。

「戻ろう」

そう決めて、今きた泥濘の道を下りはじめる。時々振り返りながら分岐や矢印の看板がないか確かめながら。しかしどこにも看板も分岐もマークもない。いくつものつづら折りを曲がってどんどん下っていく。とうとうW4が見えるくらいの位置まで戻ってきた。そこで一人後続の選手が登ってきた。

声をかけると、W3の手前で抜き返した選手だった。
「この先工事中なのですが、ずっとマークがないんです。」

そう話すと

「でもエイドからこの方向しかないし、しばらく林道のはずですよ」
ここまで戻って確かに分岐がないということは、やはり間違ってなかったのか。
狐につままれたような気分になったけど、彼はそのまま登っていくので、自分も一度登って降りてきた道をもう一度行くことにした。

「しばらく酷い泥濘なんですよ」
「でも足跡はありますね」

またしばらく登ると見覚えのある林道の終点にきて山道に変わっていく。

「さっきこの辺りまではきたんですよ」

そういいなかがら暫く進む。
やっぱりないかな、、不安が過る。でも、二人でいる分いくらか先ほどより冷静である。

「あ、あれじゃないですか」

相手の選手のライトは相当に明るくて、だいぶ先の木にぶら下がる白いものを明るく照らした。確かにマーキングだ。

「そうか!さっきもう100m先にいけばよかったんだ!」

ホッとした気分と同時に、なんだよ、マーキングをもっとつけるとか、せめて工事区間はマーキングをつけないので注意、とブリーフィングで伝えるとか、してほしかったな、と少し怒りが込み上げてきた。

これが第5の想定外の顛末。結局17から16付近にいって、一度17に戻り、また16にに行ったことになる。どのくらいロスしたろうか。感覚的には15分から20分くらいかな、とにくかこれで21時間は無理になった。。。でも昨年のタイムを更新するチャンスはまだあるはず、、、と色々ぐるぐる頭に回りながら、少しづつ自分を落ち着かせる。

一緒に登ってる選手とは少し会話しながら進んだけど、やがて少しづつ僕の方が先行して、一人で走り始める。

すると第6、この日最後の想定外の前兆が現れた。
浅松山付近の14あたりだろうか。一人で平らなトレイルを走ってる時に、ふっと、ヘッドライトが消えた。
ヘッドライトしかなかったので、真っ暗になる。慌てて歩を止めた。電池切れか。
まずカバンから予備の電池を探す。幸い月明かりがあるので作業は辛うじてできた。がさがさしているうちに、先ほどの選手に抜かれる。
電池交換しようとおもったが電源ボタンを押すとライトはついた。どうも接触不良だっとようだ。なんだ、とザックにまた荷物を戻して走り始める。

暫く走って、どのくらい走ったろうか。またふっとライトが消えた。慌てて止まって電源ボタンを付けると、すぐについた。またしばらく走るとまた消える。ボタンを押すとつく。。。。何度となく繰り返す。その間隔は徐々に短くなっているようだった。

13,12,11,10あたりは、比較的細かいなだらかな起伏のシングルトラックを進むコースで、足場も悪くない。夜なので景色は分からないが、走りやすくて良いトレイルだと思う。
ただ、ライトがたまに消えてしまうのには困った。

変なことに気づいたが、意外と人間は突然ライトが消えても、直前の残像で2,3歩先までは進めるものだ。消えた時に電源ボタンを直ぐに押せば、それほどロスにならずに走り続けることはできる。下りは少し慎重にはなったが、そのうちライトが消えても焦ることなく走り続けられるようになった。

それよりも完全に消えてしまったらどうしよう?そうしたら70Kの選手についていくか、スマホのライトしかないな、、、。

途中、先ほどの選手にまた追いついた。
脚の筋肉が限界にきており、下りが走れないらしい。少し声をかけて先に行かせてもらった。
それ以外にも何人もの70Kの選手を抜く。皆脚が限界まで来てるのだろうか、登りよりも下りで苦戦している選手が多いように感じた。
「頑張りましょう!」
なるべく声をかけて抜いていく。

こちらは、走るリズムも上がらないけど、失速もしていないい。そろそろいいかげんこのトレイルも飽きてきたな、と思う頃に、W5のある尾根に乗り、遠目にぼんやりエイドの明かりが見えてきた。

W5 雨乞山 20:37:11

ここでも時計はもう見なかったが、後で見ると昨年からのゲインは13分に落ちていた。15分以上ロスしたことを考えると、ペースはあがってはいるのだが。

最後のエイドはメダリストがあったので、美味しく頂いた。エイドの方の「元気出してください」という言葉にも勇気づけら、気持ち的に元気になる。さあ、残りはあと5km!

ちょっと登り返してから最後の難所、5付近の急斜面の下りになる。ここは、あまりにも急なので、パチンコ玉のように左右の樹々に掴まってスピードを殺しながら下らなければならない。
ところがここに来てライトが頻繁に消えるようになっており、ほとんど1分に1回消えてしまう。ボタンを押すと復活はするが、急斜面を手足を使って降りる場面では、さすがに怖くてペースを落とさずにはいられなかった。

なんとか、難所を超えて下り道は緩くなり、沢沿いのガレ道になる。ここではもうライトは30秒に一回は消えた。逆にもうほぼ定期的に消えるので、消えてつけるのが一つのリズムになって、ペースには大きな影響なく走り続けた。
2付近で集落に入り、裏山のようなトレイルを超えて、あぜ道を抜けるといよいよあと1kmである。大きな橋も見えてきた。
昨年はこの光景に感動したっけ。あの橋を渡ればフィニッシュにつく。
そしてとうとう橋を渡る。レースがもう終わってしまうんだ、という寂しさに急に襲われた。


フィニッシュ 21:25:19 15位 総合17位

最後はまったく時計は見なかったので、フィニッシュでようやく時計を見ると、昨年より13分速かった。いくつもの想定外、特に最後のロストがあったけど、タイムは少し縮めることができた。反省点はあるけど、合格点だろう。

順位も少し上がった。でも年代別は昨年と同じ4位。残念ながら表彰はまた逃した。

きついコースだけど充実感の大きい大会だ。よくここまで準備できたな、と我ながらゴール後に一人目頭が熱くなった。

昨年はフィニッシュ後の脱力感と筋肉痛で暫く動けず、風呂前に体が冷えてしまったので、今年は早めに荷物を引き取って風呂に行く。足の爪がひどいことになっていたけど、それ以外の筋肉痛は想定の範囲だ。風呂から上がって体育館に戻りとりあえず仮眠した。

反省と今後

今年のレースは、体力的には良く準備できていたと思う。昨年悩まされた胃腸の不調もなく、ペース的には2,3%は早く進めていた。
残念ながら、コースロスト3回、ライト紛失とライトの消灯による失速などトラブルがあった。もっともこれは事前の準備で解決できる部分もあった。

一つは、ザック。未だにノースフェースのマーティンウイングの古いタイプを使っており、全面のボトルポケットがないタイプ。水を背面に入れるとどうしても落とすリスクがあるし、また前面にポケットが少ないので、レース中後ろのカバンを開ける回数が増える。それだけ紛失リスクは上がるし、無駄な動作も増える。
今の時代主流のベスト型ザックを事前に手に入れるべきだった。

もう一つはヘッドライト。後半2回のロストは、手持ちライトのロストの影響もあるが、ヘッドライトがあまり性能が良くなく、視野が狭かったことも影響してるだろう。接触不良でなんども消えたヘッドライトも、レースの賞品でもらったものであり、それほどグレードの高い製品ではない。後半のレースペースを意識するなら、やはり輝度を高く保てる製品をもつべきであろう。

また、地図も今回は家のプリンターが壊れていた関係で、セブンイレブンで白黒印刷した地図をもっていたが、これが見にくかった。そのため夜にはカバンにしまってしまい、見ようという気が起こらなかった。地図をみていたら、もしかしたら、もう少し冷静に動けたかもしれない。これも微妙に準備の甘さが影響したかもしれない。

あと、今回の靴はモントレイルのバハダだった。UTMF2014から100km以上のレースは3回SportivaのBushidoを愛用していたが、100キロ以上にはやはり少し負担が大きいように感じ、変えてみた。本当は他のメーカも試してみたかったのだが、限られた時間で靴のリサーチができず、失敗しない無難なモントレイルにしたこともある。
結果的には失敗ではなかったが、もう少し他の靴を試してみたい。

次はUTMF2019の当選が課題、10月は少し休んで11月から半年計画で準備したい。









 

武尊山スカイビュートレイル2018 120K その2 レース前半

スタート 川場村中央公園 AM5:00  

今年は雨も降っておらず、寒くも暑くもないちょうど良い気温。走り出しの身体は比較的良い状態。薄暗い田舎道を縫ってぼんやり黒い塊となった里山に向かう。あまりスピードを出しすぎないようにロード区間を終えて林道の登りへ。

比較的走りやすいなだらかな登り。徐々に明るくなっていく中、走りやすいトレイルが続く。自分の調子がまだつかめないので心拍を見ながら自重して進む。123のロード区間を過ぎて、121過ぎの切れ込んだ沢を下り登り返してA1に向けた下りのロードへ。身体の動きは悪くない。


A1 川場スキー場第4駐車場 1:30:51 54位

時計を見ると、昨年より6分近く速い。それほどペースをあげたつもりはないが、今年の方が体の動きが良い分いいペースで来てたのか。ここはバナナと水の補給で数十秒でにエイドを後にする。

ここからは剣が峰に向けた急な登りが続く。初めから無理せず早歩きに移し、つづら折りを延々と登っていく。ここでも心拍を150以内に収めるよう気をつけて登る。
登りは飽きるほど長いがまだ疲れる距離でもないので淡々と登る。
やがて視界が開けて森林限界を超え、剣が峰の頂上が見えてくる。このあたりどちらを見ても見事な景色。はるか遠くのスカイラインまで綺麗に見える絶景。レース中に遭遇した景色では今までで3本の指に入るかもしれない素晴らしい眺め!
頂上は2時間57分で通過。昨年より7分ほど速いタイム。


一転110付近の下りは、岩場と泥濘の急斜面で去年と同じような状態。脚を大きくアスレチックに使う下りはあまり得意でない。焦らず手足を使って木の根岩に掴まりながら降りていく。
結構しつこく厳しい傾斜が続いて、だんだんいやになってくるが、やがて斜面はゆるく走れるトラ―バースのシングルトラックに。2,3回渡る沢水の一つで手足と顔を洗ってリフレッシュ。
砂利道に出てそこからは重力を使って適度にスピードに乗ってW1へ。


W1 3:44:05

昨年までは、給水所は水しかなかったが、今年はクエン酸入りのメダリストが支給される。これがレース中に飲むと本当においしい。A2までは短いので、飲んで補給するだけで次に向かう。
ここからは下り基調の舗装道。あまり無理して飛ばさないようにだけ気を付けて快適に。


A2 宝台樹スキー場 4:08:17 IN 4:12:46 OUT 29位

ここで昨年より13分速い。
次はレース前半の最難関の武尊山。途中W1を経由するがそこでの補給の量は望めないので、ここで2つのボトルを満水にし、トイレにもいって4分ほどの休憩。

エイドを出ると、スキー場を遥か直登していくコースが、でーんと眼前に現れる。登っている人はポツポツ数人見えただろうか。昨年はここで10-20人は見えたので、今年の方が通過時間が速い分、人がまばらなのだろうか。

ひたすら歩いて登る。途中、コースは目前の山を左に巻いて登っていく。前も後ろもはるか先が見えるが、どちらの選手も間隔はあまり変わらない。マイペースでひたすら我慢。

99付近で登り切るとオープンの尾根道を下っていく。途中砂利道になって、すぐにW1からA2に向かう道に合流する。97付近。ここではA2に向かう沢山の選手とすれ違う。すぐに許田君とすれ違った。元気そうに見えたが、彼の昨年のタイム(23時間代)からすると、やや遅いペースで、どうしたんだろう?とちょっと不思議に思う(レース後彼によれば、トレーニング状況を鑑みて前半を抑えたようだ)


W1 4:58:33

メダリストを飲んですぐに出発。
エイド直後に、女子選手にすっと抜かれる。昨年優勝の大石さんだった。細い身体でゆるい登りの舗装道をすべるように走っていく。はじめ少しペースを合わせてみたが到底無理だと感じてすぐ前に見送った。さすがに女子のトップ選手である。

93付近で道は砂利道から登山道に入りシングルトラックへ。登り口で前に女性が歩いているのが見え、おや、大石さんかな?と思ったら背格好は似てるものの違う選手で、加藤さん(女子3位)だった。
やがて加藤さんに追いつき、少し並走する。その先は武尊山まで前後するものの概ね見える距離でご一緒した。
途中、ポツポツと選手を抜いたが、あまりペースを変えず淡々と登っていたように思う。
途中91付近で稜線から離れ笹やぶの中の道へ。本当によく切り開いたと思うけど、藪の中で視界も悪く急斜面、刈った笹と泥濘で滑りやすい地面、非常に根気のいる区間である。
それでも、我慢しているとやがて頂上の声が聞こえてきた。
武尊山の山頂は6時間44分。昨年より16分速いタイムだ。やはり今日は昨年より少し調子が良い。21時間も現実的な目標に思えた。

稜線に出ると、それまで目前にいた加藤さんがすっ、と見えなくなった。僕は登りから下りへの切り替えが苦手なようだ。筋肉がパンパンな状態からぐに下りに対応できず、数分の切り替え時間が必要になる。たいていそこで前の人に置いていかれる。

それでも、89付近、素晴らしい眺めの中登山客に道を譲ってもらいながら、一人で気持ち良く2000mのトレイルを楽しんだ。

ここからの区間はほとんど前後のランナーを見なかった。A3まではきついコースではないが泥濘がひどく、途中86付近だろうか、うかつにも転倒、全面から倒れて右脚の膝を強く殴打してしまう。からだは泥だらけで、膝もじーんと痛みが走った。幸い岩でなく木の根にぶつけたので切れてはいない。ペースを落として歩きながら痛みが引くのを待つ。ここまで順調だったレースに少し狂いが生じた瞬間だった。

しばらく歩いてからペースを戻して走り始める。そのまま元のペースをつかめないままにA3にたどり着いた。


A3 武尊牧場キャンプ場 7時間44分27秒 22位

ここまで昨年より16分ゲイン。水分とエネルギーをしっかりとる。

荷物を降ろすと、この日この後何度も悩まされる想定外の一つ目に出くわした。

背中のザックポケットに入れていた600mLのボトルがなくなっていた。どこだろう。おそらく木の根を潜る時に擦れて落ちたのだろうか。
幸い500mLのボトルの他に、300mLの予備ボトルを持っていたので、合計800mLはある。これ以降のエイド間はこの量の水で走らなければならない。幸い1日の暑い時間帯は過ぎており、この後気温は下がっていく時間帯なので大きなトラブルがなければ大丈夫だろう、と気を取り直す。

ペースが昨年より速いので疲れが少し心配になるが、今のところ闘志は衰えてない。
3,4分の休憩で次に向かう。

エイド後にキャンプ場内の道を進んでいく。ここで2つ目の想定外。
次のエイドまでのコースを思い出しながら進んでいると、ふと道の方向が昨年の記憶にない方向に曲がり、遠くにA3にこれから入る選手が走っている姿が目に映った。あれ?なんかおかしい。
慌てて元来た道を戻る。先ほどのエイドで抜かした加藤さんも、おかしいと気づいて戻り始めた。
どこかで曲がりを見失ったのだろう。2、300m戻ると右に曲がる矢印を見落としていることに気づいた。推定ロスタイム4分程度。しまった、ここまで順調にタイムを稼いできたのに、、勿体ないことをした。

あまり落胆しても仕方ないので、景色を楽しみながらゆるい砂利道の下りを快適に走っていく。82,81,やがて道は登りになり、そこで加藤さんに追いついた。
歩くペースは加藤さんの方が速い。その代わり僕はだいたい3分の2を走って残りを歩く。トータルのペースはあまり変わらず。
たわいもない会話をしながら、次の難関に向けて進んでいく。

78でスキー場の直登が見えてきた。昨年の記憶で辛い場所ベスト3に入る。脚の関節が固いせいか、急な登りに弱い。なので、無理せず斜めにジグザグに登って使う筋肉を微妙に変えて紛らわす。前を行く加藤さんと着かず離れず、黙々、淡々と登っていく。

この急登ははじめは絶望的に感じるが、冷静に時計を見れば約20分である。300mの標高差を登り切ると77でスキー場の下りコースに入る。今後は急斜面と緩斜面のコンビネーションで、急斜面はブレーキをかけて走るのがつらくなる。延々と下っていくうちに大腿二頭筋に疲労がたまっていくのをヒシヒシと感じる。

ようやく下り終えて、73の集落の間を抜け、再びスキー場の登りに取り掛かる。このあたりでずっと前を行く加藤さんを抜いた。また急登をジグザクと登る。もういい加減いやになる頃に頂上につき、72からスキー場の下りになり2kmほどでA4につく。ここでは、かの奥宮さんがマイクで励ましてくれながら出迎えてくれた。


A4 片品高原スキー場 9:32:26 22位

昨年より14分ゲイン。途中ロストした分でゲインが初めて減ってしまった。
疲労感はまだなく、食料補給と水分補給でここも3,4分でエイドを後にする。

エイドから66付近までしばらくは平らな農道の道。ポツポツと70Kの選手を抜きながら走る。昨年の記憶ではすでに辛さを感じた記憶があるが、今年はまだそれほど辛く感じない。やはり昨年に比べれば良い状態だろうか。
このあたりからは周りの選手というよりも、自分の昨年のタイムをベンチマークとして走る。

やがて林道の登りから、65付近でシングルトレイルの急登に移る。ここも結構きついが、最後の手ごわい尾根を越えると63あたりから尾根の下りのトレイル。オリエンテーリング的に快適なリズムで得意な下りだ。最後は泥の急斜面で沢山の70Kの選手を沢山抜いてW2に入る。


W2 十二様 10:50:42 19位

ここでのゲインは17分に。水の補給をして直ぐに次に向かう。

再び砂利道のゆるい登り。もう一度山を越えるとドロップバッグのあるA5につく。いわば前半最後の難所といったところか。
ここの登りは2段になっていて、400mくらい登った後に一旦平らな林道があり、さらに200mくらいの登りがある。
昨年の記憶では一段目にきつい記憶がなかったのだが、今年は1段目の途中(60付近)で疲労を感じてペースが鈍りはじめた。心拍があがらなくなり、すぐにおかしいと気づく。A4を出てからあまりきちんとした補給が出来ていなかったせいだろうか。羊羹を食べてエネルギーをとり、いったん落ちたペースの回復を待つ。やがて59で平らな林道に出てゆっくり走り始めると、エネルギーが身体に行き渡ったのか、体が復活してきた。

57で林道から最後の急登の道に入った時、もはや夕暮れ時に移っていた。とぼとぼ歩いている120Kの選手を一人抜かす。走ることはほとんどできないが、一歩一歩しっかり登って頂上を目指す。

やがててっぺん56から下りに移ると、今度は今までにない急傾斜の直滑降コース。足でブレーキをかけるので精一杯という斜面が続く。ここもこのレースの難所の一つだろう。足の悲鳴が聞こえ始めた頃に斜面が変わりはじめ、やがて快適なスキー場の緩斜面になる。ここでもう一人120Kの選手を抜かした。

武尊山スカイビュートレイル2018 120K その1 準備と前日

この場に書くのは、ほとんど年に1回となってしまったが、毎年自分で一番のレースと決めたロングトレイルの記録を残しておくことにしている。
自分のレースのレビューの意味が一番だけど、誰かがレースに参加する際の参考になるかもしれない。だから誰でも目の届くところに書き留めている。

2018年は、UTMFに落選したため、今年は昨年初めて出走した武尊120K(120km up9200m)を一年の目標にすることにした。

昨年21時間38分で20位(総合23位)、A7手前から胃腸の調子を悪くし、最後の山で食料を受け付けなくなり失速した。うまく走り切れれば21時間は切れるはず。ということで今年は21時間10位台を目標に。

今年に入ってからのトレーニングは以下の通り
(()内はトレイルのトレーニング)

1月 336km 33時間 (33km 4:23)
2月 317km 28時間 (20km 2:34)
3月 308km 30時間 (33km 5:04)
4月 380km 40時間 (98km 13:53)
5月 390km 42時間 (51km 10:35)
6月 322km 31時間 (44km 4:55)
7月 312km 36時間 (65km 11:07)
8月 377km 45時間 (91km 17:08)

春から夏にかけて10時間のトレイルを4本走ると決めていた。4月の奥三河、5月の丹沢トレーニング、7月の野沢までは順調、8月にハセツネコースを一周計画したが、体調が合わず40km7時間でリタイア。3.5本で80点といったところか。

スピードトレーニングはあまりできてないが、暑い夏の間コンスタントには走れたので、9月半ばに涼しくなってからは体の動きが良くなってるのを感じた。

前の週は40-50分のジョグで体調を調整、3日前に仕事の都合でパーティーに出席、その後の2次会もいったため酒量も多く午前様に。影響が少し心配だったが、幸い2日前、前日とゆっくり睡眠がとれて影響はなかったと思う。

昨年と同様に、午後の新幹線で川場に向かい、競技説明と受け付け後に宿にチェックイン。大学時代のオリエンテーリングの先輩F氏と事前に連絡をとって、一緒の宿にした。今年は川場村の徒歩でいける宿だったので移動が楽だった。
夜は、F氏と、それからその日相部屋で初めて会ったK氏と、いろいろな話をしながら準備した。様々な人と会話して準備方法を聞くのは、自分の知らない工夫もあってためになる。ワクワク感はいつも以上に高かったように思う。8時には就寝した。

当日は2時30分に起床。
4時に宿を出て会場へ向かう。

荷物は以下の通り
バッグ:マーティンウイング6L(ノースフェース)
雨具:ノースフェースの軽量タイプ(使わず)
防寒具:ノースフェースの軽量ウインドブレーカ(使わず)
食料(スタート時)
・ドライフルーツ300g程度
・Power Bar×1本
・粉飴 50g×2本
・スポーツ羊羹 1本
・アミノバイタル(粉末)3本
水分:600mLボトル+500mLボトル+300mLソフトボトル
食料(ドロップバックで補充)
・ドライフルーツ150g程度(結局残したまま)
・ポカリスエット粉末 1L用×2(1つあまり)
・アミノバイタル(100kcalゼリー)×3
靴:モントレイル バハダ
テーピング:膝、大腿、足首(固定)
ライト:LedLenser製ヘッドライト(単4x3本)、手持ちライト(単4×3本)
その他:ヘアバンド、Tシャツ、短パン、CEPの脹脛コンプレッションウエア

今時、前面にボトルホルダーのないザックをしょってるのは、スタートで見る限り僕くらいでした。。。







信越100mile 2022

<レースの記録を忘れていたので後から記載>  START 18:30  日没して約30分、暗闇の中スタート。序盤はスキー場の中の登りとトラバースを繰り返す。 2,30分で下りからロードに出てそこからは比較的平坦のパートが続く。1時間30分くらいで斑尾山に向けて急登が始まる。...