土曜日, 12月 30, 2006

二十歳の少女に学ぶ


久しぶりにO-Todayが届いた。

一昨年O-sportから分離独立してから、編集者のJanは何かと苦労しているらしい。
拠点をチェコからノルウェーへ移したそうだ。表紙も一新した。
個人的には一時O-Todayになった直後よりも、以前のO-sport時代のようにレイアウトやデザインがシンプルでよいように思う。

発行が滞っていた分、合併号として夏からのイベントの記事に溢れている。ちょっとタイミングは遅いがそれでも読み応えがある。

その中で一番目を引いたのは、Hanny Allstonのインタビュー記事だ。


彼女はもちろん、デンマークのWOCのスプリントでSimoneの4連覇を阻止し優勝した選手である。
初めてのWOC金メダルをヨーロッパの外に持ち出した彼女は、若干二十歳、WOC史上でも2番目の若さでこの離れ業を成し遂げた。

しかし彼女のインタビューを見ていると、そんな偉業をなしたとは思えない奔放さ自由さを感じるとともに、芯ではしっかりとした考えを持っているのが伺える。

36歳にして、二十歳の彼女の競技観に学ぶことは多い。

Hannyはオーストラリアでも田舎といわれるタスマニアの出身。今でも1年の殆どをタスマニアで過ごす。スウェーデンのクラブにも所属するが、欧州に行くのは年に2,3回程度だそうだ。これはまず驚きである。遠征費約30万円/回のうち(少なくとも今までは)60%が自費である。WOCで上位に入る選手はほとんどが欧州に住み、数多の大会でしのぎを削って成長していくのとは対照的で、遠く離れた人口わずか50万の島国でどうやって世界レベルまで到達したのか。

彼女いわくそれが彼女の「秘密兵器」なのだそうだ。

欧州でオリエンテーリングばかりの生活をしたらすぐ飽きてしまうだろう、だから競技会意外はほとんどオリエンテーリングをしないタスマニアでの生活は、走ることが大好きな彼女にはかえって彼女の性に合っていると分析する。

実際タスマニアで過ごす時の練習は、ほとんフィジカルトレーニング。トレイルランやインターバル、バイクなど。「でも走ることに固執しない。休日に友達に誘われれば、カヤックにも行く」という。

陸上の彼女の記録は5000m17分、3000m10分という。WOCでの活躍を見ればそれほど目を引くタイムではない。女子のトップ選手としては平均的な走力だろう。ただ陸上のナショナルチームからも誘いがあり、将来は視野に入れているらしい。ここでも彼女はオリエンテーリングに固執していない。走ること自身が好きだ。だからマラソンにも挑戦してサブスリーを目指すという。

もう一つ彼女のインタビューで印象的なのは、

「人生はスポーツとは別、両方を混同したくない」という言葉である。

インタビューの中でこのことを再三繰り返している。欧州に移り住まないのも、タスマニアにいる家族や友人を大切にし、人生で他にやるべきことがあるからと説明する。世界の頂点に立つ選手がこのような視点をもっていることにはどこか、ほっとするところがある。

日本チームについて考える。

我々の場合、欧州との物理的距離がオリエンテーリング強化の上で大きな制約になっていることは間違いない。多い選手でも年に2,3回の欧州遠征、それも多大なコストがかかるため費用を捻出できる環境になる選手もけっして多くない。世界の舞台に慣れるまでに全盛期を過ぎてしまう例も多い。しかし、そのようなハンディそのものよりも、努力や工夫では補えない「壁」があるという、心の奥の一種のあきらめのようなものが、大きな重しになっていると感じる時がある。

彼女はもちろん類稀な素質をもっていると思われる。フィジカル面、ナビゲーション面はもちろん、環境を超えて自身を成長させることのできるセルフマネージメント能力も高い。しかし実際このような選手が現れたことは、日本チームにとっては大きな励みになる。オリエンテーリングに潜在的に潜む「欧州コンプレックス」を払拭し、どこにいても世界の頂点に立てるという勇気を与えてくれるような気がする。

第51週 9時間10分 OL3.0km+Run89km+Bke10km

第52週 8時間10分 Run72km +Bike30km

水曜日, 12月 20, 2006

ストイックな2日目

土曜日の夜の渋谷の忘年会は妻にゆずり、今日は一人で京葉パークOの2日目に参加。

白井の駅から歩くと、町外れの森に到着。平らだけどしっかりした森は、昨日のパークOとはがらっと異なる様相。
一人なので自分のペースで準備。トップ選手はほとんど参加していたので、自分の今の実力を知るいい機会。
コースは平らで無数の小路が走る見通しのよい森。方向さえチェックしておけばほとんどスピードを落とさずに走りきれるコース。中盤から心拍数は185に達し、後半は190を超えて走る。つまりほぼ全力疾走に近いレース。

大分いい感触かな、と思ったけど、終わってみるとトップの善徳とは30秒以上の差。ちょっとがっくり。この手のコースは得意と踏んでいたのに。かなり追い込んでミスもなく走ったようだけど、前半の出だしのペースが鈍く、全体としてもスピードが数%足りなかったよう。やはりちょっとの違いだけど森の中のスピードは今シーズンはまだ磨かれてないよう。今の時点としては致し方ない。

結果は4位。ここのところ4位とか5位が多い。今の実力そのものかもしれないと納得。

レース後は、久しぶりに森を走れるチャンスなので、気の向くままに森で2分+1分のインターバル+ジョグで1時間ほど。

この日は山口夫妻の峻矢君が登場。おとなしくてこれまたかわいいあかちゃん。大助似?季見ちゃん似?
いずれにしろ足の速い子になるのかな。大助もパパになったとはいえ、先週の御岳トレイルを優勝するなど充実しているよう。
むむ、いい刺激になる。彼とはなんとなく状況が似てるので、ある意味よいライバルかも。


その他懐かしい武田も家族で着ていた。最近卓弥も復活するようだし、新田見さんといい、カムバックの朗報が多い。パークOがそういう人の戻るいい機会になるとすれば素晴らしいこと。

これにて今年のレースは終了。

パークOと家族


「年内はだめ」

といっていた妻を、「近いし公園だから」と説得してようやくOKが出た。

家族3人で始めてOLに参加。娘は会場デビュー。
なぜか親父の自分がどきどきして、われながら親ばかだけど、楽しみにはちがいない。
幸いにも土曜日は暖かいパークO日和。

でもいざ朝起きて準備をすると、家族でOLに出かけるのは今までとぜんぜん違う。一人でぱっと起きて20分後には電車に飛び乗るのとは分けが違う。
おむつ替えて、離乳食をべとべとになりながら口に入れて、お乳飲んで・・・。出発するまでに2時間。それでもまだ転がしておけばそこらへんで「うごうご、ブブー」ともぞもぞしているだけなので楽チンだ。走り回るようになったら目も当てられない。
2人、3人の腕白小僧を連れて会場に来ている諸先輩を見ると改めて頭の下がる思いだ。

会場に着てみると、今日が同じくデビューのhidi家も着ていた。渋谷も子供が7人。ちょっとした保育園状態。
赤ちゃんもこの頃は皆個性的。娘は、頭の毛は月例の割りにふさふさ。で頭はやたらでかいけど体は小さい。まあ成長すればどうなるかわからないけど、どの子もみな一生懸命生きてる感じでなんとも愛らしい。

こうしてみるとやはり会場が近い、車でアクセスできて、歩く距離が短い、というのは子供つれが参加する上ではとてもありがたい。よく周りの人がそういってたけ
ど、改めてその意味がわかった。

さて、レースの方は妻と変わりばんこに参加。OAだけど、20秒くらいの大ミスをして今ひとつ。12月はトレーニング月間だけどこの日はちょっとした息抜きの日になった。


明日のレースはもう少し頑張ろう。

第50週 8時間20分 OL3km+Run77km+Bike12km

日曜日, 12月 10, 2006

トレイルランと鍋

数日前に美濃部君から、土曜日のトレイルランへのお誘いメール。

コースは美濃部家から鎌倉方面に連なるハイキングコースを辿るコース。普段鎌倉周辺のトレイルランは利用しているので良く知っているコース。
参加者は小暮夫妻に美濃部、加賀屋家。でも生憎の雨で加賀屋さんは走るのを挫折。美濃部家で京介君たちとお留守番。
結局4人で走り出す。走り出すと5分で山道に入り、そこからほとんど舗装道を使わないで北鎌倉の明月院までたどり着いた。
帰りは皆と別れて少し足を伸ばして瀬上湖周りへ。だいたい23kmで2時間半と程よいトレイルラン。

夕方には、美濃部家で皆で鍋をつついて夕食。加賀屋家の京介君も大きくなって、家の中を歩きまわってました。
渋谷も本当に子供が増えたことを実感。
この日は一人の参加だったけど、次の機会には家族3人で参加しようと思います。

美濃部家の皆さまご馳走様でした。

第49週 9時間15分 Run103km

木曜日, 12月 07, 2006

初冬の八戸


仕事の関係で八戸に出張。

あまり私用では縁のない新幹線「はやて」に初めて乗っていきました。
盛岡からさらに40分、東京から3時間足らずなので、ずいぶんと便利になったものです。
仙台を過ぎると、 車窓からの風景は、葉がすっかり落ちて見通しの良くなった森と田んぼが交互に見える長閑な風景になります。
北東北は、意外と丘陵地の起伏がゆるやかなところが多い。雑木林が多くて、笹や低木で可能度はあまりよくないけれど、場所を選べばきっと、いいテレインがあるに違いない・・・。ついそんなことをぼーと考えながら外を眺めていると3時間はあっという間でした。

今回の視察の目的は、日本で今のところ唯一実用化されている、紫外線を用いた水処理設備を見ること。
紫外線は、お肌の敵とか皮膚がんの原因と言われるように、細胞内のDNAを損傷する作用があります。ところが天気の良い日の布団干しなど、紫外線の殺菌作用をうまく使ってかびや細菌を殺す方法も昔から使われていました。

その作用を水処理に応用しよという発想はもう100年前からあり、実は飲料水の工場とか、下水処理場ではかなり実用化されているます。ところが、飲み水をつくる上水道の分野では、いろいろな技術的課題があって、まったくといってよいほど普及していませんでした。

今回の見学は、そのような日本の水道において、先進的にも紫外線照射装置を実用化した八戸の水道企業団の設備を見に行ったわけです。

装置自体は(専門家にしか興味はわきませんが)、配管の中にランプを入れただけのような、とてもシンプルなもの。当然他の装置に比べて非常に安価です。
原水中の濁りが少ない水にしか適用はできないのですが、それでも今後経営状態が苦しく、ろ過装置などを導入できない地方の簡易水道などで、より安全な水を作る手法の一つとして、普及が見込まれます。

さてこの装置が処理している原水の水源地は、湧水を水源にしており、山間の静かな小川沿いにありました。
小さな祠もあり、とても森が美しく心や安らぐ場所です。
それでも、上流の農地などの影響で、湧水の水質は少しずつ悪くなっているとのこと。
水は正直なものです。月並みだけど、「森を守る」ということは我々の飲む水を守ることにつながることを実感しました。






日曜日, 12月 03, 2006

谷川真理のオーラ


さて川口ハーフマラソンの方

とてもよい天気で、風もそれほどなく絶好のコンディション。

会場はファミリークラスの親子ずれもたくさんいて大混雑。ただハーフの部はそれほど多くなく、30代以下男子は400人。どちらかというと、地元の小中学生の2kmクラスやファミリークラスが中心のアットホームな大会。

谷川真理さんがゲストとして来ていました。彼女はさすがにオーラがある。特別おしゃれしているというわけでもないけど、遠めからでもそのファッションと雰囲気ですぐわかりました。
マラソンは決して派手なスポーツではないし、ファッションでマラソンを始める人はほとんど皆無だろうけれど、それでも競技のシンボル的人が、それなりのオーラを出すことは競技にとっては絶対にプラスになると感じます。
きっと谷川さんもそのことを意識していらっしゃるのでしょう。

こうしてみるとやはりオリエンテーリングのトップ選手はもっと自分を意識して(程よい)アピールをしてもよいように感じます。


さてレースは中盤アップダウンが結構あるらしいとのことから、

76分台

を目標にスタート。

まずはフラットな5kmを17分45秒で通過。でも距離表示が怪しい。参加者の層が薄いので、すでに前後の選手がまばらになり、ほとんど一人旅に。中盤はうわさどおりアップダウンがあり10kmで36分02秒。やっぱり76分台?
途中「11位!」と何度か言われたので、何とか前の人を一人抜くことを目標に。でも前は30秒ほど誰もおらずなかなか順位上がらず。
15km近くになってようやく一人選手の背中が大きくなってくる。がんばって少しペースも上げて、無事10位へ浮上。15kmは53'54と少しペースアップ。終盤は登りもないので76分は切れそう?と少し欲が出てきた。
平地になったところで、後ろから足音が近づいてくる。息づかいからすると女性?どうやらスタート時に谷川真理に声をかけられていた若い女性らしい。さすがに少しプライド心が擽られてペースアップ。3'30近いペースにも体が付いてきて、最後のスパートもスムーズに。結局女性トップからなんとか逃れて、往路の方が早い75分37秒でゴール。

中盤のアップダウンを考えると、よりフラットだった1月の谷川真理ハーフの76分ジャストよりも1分程度速い感覚。


ちょと無理かな、と弱気になっていた、「2007年春に74分」という目標も、まんざら可能性が見えてきました。

この2週で走るベース力はある程度戻っていると実感。

冬のトレーニングに向けてよいマイルストーンになりました。


第48週 7時間10分 Run 72km+Bike 20km

なぜロードレースか?

今週末は2週連続でロードレースに参加、 川口のハーフマラソンに参加しました。

オフシーズンにはオリエンティアとしては、比較的良くロードレースに出る方だと思います。
冬の時期はあえてオリエンテーリングをあまりせず、ロードレース(やトレイルラン)をトレーニングに取り込んでいます。

ロードで走る筋肉と、森での筋肉はぜんぜん違うし、ロードレースにまったく興味を示さない人も多くいます。
確かにオリエンテーリングの選手としては、森で走るのが一番いいのは確かです。

ロードレースのタイムを追求すること自体は、オリエンテーリングを強くなることと方向性が完全には一致しません。

それでも、オフの時期にロードレースに出るのも一つの選択肢だと思います。
理由はいくつかあります。

一つは、国内で最も層が厚く、競技として成熟していること。


オリエンテーリングでは、国内だと、いいレースをすれば自分より上はせいぜい数人。
しかし陸上では、そうはいかない。どんな田舎大会に出ても優勝はできません。自分と同じレベルの人がわんさかいる。
そういうところで走ると自分のコンディション、フィットレベルをごまかせない。自分よりあきらかに年配の選手に抜かれる経験もします。北欧でオリエンテーリングのレースをした時と同じ感覚です。異競技といえども、日本ではなかなか味わえない競り合いを体感することは、重要と考えます。


もう一つは、基礎持久力や心肺機能を強化するトレーニングとしては非常に効果的である点。

どんな持久スポーツでも心肺系と、走る動作を支える筋骨格系の能力がベースにはあります。ハーフマラソンは概ねAT値で1時間以上走る競技で、これはオリエンテーリングで言えば質の高いロング競技を走ったのと同じ強度になります。
基礎強化の時期ならば、走る動作自身のフォームを効率化するためにも、有効だと感じます。

もちろん、過去のタイムと比較することで自分のマイルストーンを立てやすいというメリットもあります。

トレイルランの王者、鏑木さんが富士登山競争の前に、ロードトレーニング中心に行う時期をつくり、そのベースの上に登りを強化する、といった主旨のことを話していました。それを聞いて、自分の感覚が間違っていないことを確信しました。

さて最後は、お金も時間も比較的かからないこと。

これは、子供を持つようになって特に感じるようになりました。
参加費は3,4000円て、オリエンテーリングよりむしろ高いですが、都内か神奈川、千葉あたりのレースが大半なので、交通費はせいぜい1000円。遠征費のかかるオリエンテーリングに比べると割安です。
時間的にも、だいたい午前で終わって、交通の便が良いところが多いので、早いときは午後1時か2時には家につくことができます。夕方か、場合によっては夜に帰宅するOLに比べると、一日の中で他のこともできるメリットがあります。

こうしたメリットを考えると、色々考えた場合、「日本の限られた環境の中では、オリエンテーリングにとって、常に森を走ることが最良のトレーニング方法とは限らない」

ということができます。
少なくとも、身近にオリエンテーリングのできる森がなく、休日を丸々トレーニングにつぎ込むことのできるわけではない自分にとっては、そうであると確信してます。

オリエンテーリング以外のトレーニング(バイクやトレイルランも含む)をうまく利用することで、オリエンテーリングを強くなろう、という考えは、最近特に多くの選手も取り入れています。合理的に利用すべきクロストレーニングをうまく有効活用していくという発想だと思います。利用するクロストレーニングの種類の違いはありますが、基本的な考え方は同じように感じます。


信越100mile 2022

<レースの記録を忘れていたので後から記載>  START 18:30  日没して約30分、暗闇の中スタート。序盤はスキー場の中の登りとトラバースを繰り返す。 2,30分で下りからロードに出てそこからは比較的平坦のパートが続く。1時間30分くらいで斑尾山に向けて急登が始まる。...