日曜日, 6月 03, 2007

演出の重要性~箱根トレイルに思う

5月27日のOSJハコネ50Kに参加した。

自分の成績は別として、スポーツにおいて如何に演出が大切かを感じる大会だった。
この大会、昨今のトレイルランニングブームに乗って、ノースフェイスがメインスポンサーとなって今年始まった大会である。一流選手の参加や、多方面への宣伝もあって、第1回大会としてはかなり知名度は高かった。

もともとトレイルランは、山岳走やマラニックと呼ばれ、どちらかといえばストイックでエキセントリックであり、スポーツとしての知名度は低かった。10月の山岳耐久にしても、かつては知る人ぞ知る大会であった。優勝者は讃えられるものの、究極のアスリートという捕らえ方よりも、物好きの域を出ていない印象だった。
数年前から石川弘樹が活躍し、プロのトレイルランナーとして有名になった頃から、トレイルランという言葉が定着したように思う。その後の鏑木さんや横山さんの活躍もあって、スポーツとしての魅力が広く認知されてきた。スポンサーが投資をしたくなるような、競技としてのイメージ、PR性が伴い、人気とスポンサーの増加が両輪となって雪だるま式に成長を始めた感がある。
それでも北丹沢や、山岳耐久は、人知れず山を黙々と走る地味な一面があることには変わりない。一般の人には馴染みのない登山道や林道、里山に位置する競技会場は、地元の人以外には目に付くことはない。

大会の考案者、そしてメインスポンサーのノースフェイスがはじめからプランニングしてたかはわからないが、箱根の50Kはそうした日本のトレイルランの内弁慶なイメージを払拭することに成功したように思う。
箱根湯本という観光地をスタートし、太陽の降り注ぐ見晴らしの良い防火帯が続くトレイルを走る。随所での登山客、観光客が応援可能なコース設定。そして神山という厳しい山を越えた後の彫刻の森でのゴール。いろいろな意味で今までのトレイルランにはない開放的な印象を受ける。そしてなんといっても、モダンな彫刻の森のゲートを潜ってのゴールは、長い大自然の中でのレースと対照的でドラマチックだ。こうした演出はヨーロッパなどの自転車競技でもよく見られる。何百キロも大自然のロードを走ったり、あるいは山岳オフロードを走ってきた選手が、観客に溢れかえった都市のど真ん中の広場にゴールする。冒険映画のクライマックスで英雄が帰還したかのような錯覚は、ただ50kmを走ったという満足感以上の高揚を完走者に与えてくれる。
もちろんこうした演出には、細かい部分からの配慮が必要だ。役員のウエアは明るいブルーのTシャツに統一され、スポンサーロゴの旗を振る。ゴール地区の広場も華やかなテントが並び、洒落たカフェテリアでコーヒーを飲みながら仲間を待つこともできる。応援を楽しみながらサポートしている運営者との一体感もここちよい。自分もチャンスがあればチャレンジしたい、そう思っているかのような若い運営者が多かった。頑固そうな山岳関係者が毅然と運営している山岳耐久と対照的である。

もちろん来年も出たいと思う。上位を目指そうという気になる。参加者にそういう魅力を植え付けた。
第1回なのでいろいろと課題はあっただろうが、まずは参加者にこうした印象を抱かせたところで大成功の大会だったのではないか。
こうした大会を見ると、ふと考えてしまう。われらが日本のオリエンテーリングがこうした華やかさを手に入れる日はいつだろうか。競技としての成熟度は遥かに先輩であるオリエンテーリングの発展は頭打ちだ。何故我々のスポーツはこうした発展を手にできないのだろうか。物を買わない、外見にこだわらない、飾ることへのエネルギーを惜しむ傾向にある、オリエンティア。真面目だが内弁慶でPRすることが苦手だ。その特性が一般のアウトドア愛好者、スポーツ関係者との垣根を高くし、スポンサーを集めづらくしている面は否めない。競技そのものの質が、こうした開放感とは無縁なのか。それとも日本のオリエンテーリングの発展の歴史の中でそうした文化が定着しているのか。ヨーロッパでも決して商業的に成功しているスポーツとは言いがたいがそれでも、演出に優れたレースは沢山ある。日本のオリエンテーリングにももう少し状況の改善余地はあるように感じる。
昨今、元(あるいは現役)オリエンティアでもアドベンチャーやトレイルで活躍している選手が増えた。田中正人、許田、丸井、柳下、樋山、村越、宮内などなど。逆にオリエンテーリングを楽しむアドベンチャーレーサーも増えている。こうした文化交流が、膠着したオリエンテーリングの地味な文化を少しづつ変えていくのではないか。そう期待している。

さて、話はかわる。結果は。僕自身は終盤ペースが上がらず、8時間を切ることができなかった。トップの25%増しは山耐でいえば10時間に相当する。もう少し行けると思ったが・・悔しい。樋山君(7:02)や柳下君(7:22)は素晴らしい結果だった。彼らと同じとは言わないが、後半維持する持久力をもう少しつけて来年はあと30分タイムを縮めたい。

残念ながら妻は直前に痛めた腰痛が治らず、早朝に説得して出走を回避した。僕以上に楽しみにしていたのでとても残念そうだったが、この距離を腰痛抱えて走るのは自殺行為だ。きっちり治して次のレースに臨む。


月曜日、気付いたら乾かしていたハイドレーションを娘が・・・・。
すでに使う気満々らしい。
第19週 6時間10分 Run56km+Bike12km
第20週 8時間35分 Run64km+OL11km
第21週 5時間55分 Run50km+OL5km
第22週 13時間05分 Run85km+OL4km+Bike22km

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