水曜日, 5月 01, 2019

UTMF2019 その2 StartからA7まで

Start 0K 12:00

前回出場した2015と同じように雨と霧の中のスタート。スタートゲートまでは10秒くらいでストレスはほとんどなし。

はじめの16kmはロード。2キロほど緩やかに登った後はほとんど下り基調。右ひざの痛みの様子を見ながら走る。心拍は135-140付近で、いつものスタートよりゆっくり目だろうか。5キロくらいのところで、許田君に会う。
初めて走る彼に、

「こんなペースですか?」

と聞かれた。

「うーん、こんなものかな。毎年よりちょっとだけ遅いかも」

と答えた。彼も「そんなもんなんですね」と少し安心したようだ。このレースは(渋滞にはまらない限り)焦ってもしょうがない。その後、人の流れに乗って走るうちに自然と彼とは別れた。それを最後に彼にレース中会うことはなかった。

粟倉 Wエイド 16K 1:28:21 241位
ここは素通り。粟倉まではマラソン大会のようにロードを人混みの中走る感じだったが、ここからシングルトレイル基調に変わり、人の列も一列の筋に変わる。平坦なトレイルに時々切れ込んだ沢で急な下りと登りが現れる。まだまだ人が多いので、急な下りでは、渋滞までいかないものの、詰まってスピードが落ちる。
自分のペースより遅い状態が続くが、ここは焦らず周りのペースに合わせて進むことにした。

富士宮 A1 23K 2:14:50 227位
予定より少し早く到着する。もっとも予定が少し遅すぎたろうか。
次の区間は4時間以上補給がないので、補給に抜かりないように。2つの500mLのボトルを満水にし、予備の300mLのボトルも満たしてエイドを出る。300mLのボトルはこの区間専用に用意したもので、手に持ったまま走る。
富士宮の市街地を抜け、緩やかな登りのトレイルからいよいよ前半の山場、急登600mがはじまる。
そうはいってもまだ序盤で走り始めて3時間程度、それほど辛くはない。心拍を150程度までにキープして淡々と登る。
稜線の天子ヶ岳(1330m)に登り切ったところで4時間程度。ここからアップダウンを繰り返しつつ高度を上げて熊森山(1574m)まで登る。途中、コース監視だろうか、田中正人さんと山田君とすれ違い、声をかけてくれた。
スタート時から降っている雨は止む気配もないが、走ってるのでTシャツ短パンで寒さは感じない。
稜線は1時間半ほどで終わり熊森山に着くと、そこから急斜面を下る。このパートは激しいぬかるみ道になっていた。滑りやすい下りは得意なのでこのパートで多くの選手を抜かした。それほど長くもなく15分くらいで林道に出る。ここからは舗装道を下り10kmくらいでエイド。あまりスピードをあげて大腿筋を傷めない様に注意しながら走る。比較的良いリズムで走れてた区間。

下り切って平坦になったあたりで、一人の選手に追いつかれた。外国の選手である。少し並走したので自然と会話が生まれる、フランスから来た選手らしい。

「フランスは良いレースがたくさんあるでしょ」
と聞くと、
「イエス、でも日本のトレイルも素晴らしい。東京の観光もとてもエキサイティングだよ」
とのこと。リップサービスのところもあるだろうが、欧米人からすると、僕らにとって見慣れた里山トレイルの風景も、異国情緒ある刺激的なコースなのかもしれない。
話がひとしきりでひと段落したところで、
「Keep your pace」
彼の方が良いペースなのは明らかなので、先に行ってもらった。

エイドにつく2,3km手前でトレイルに入ったところで、暗くなったのでハンドライトを点ける。そこから10分程度でエイドについた。

A2 麓 51K 6:40:57 153位

前のエイドから少し距離があったので、ここで食料は少し多めに補給。3分くらいでエイドを出る。
相変わらず止まない雨の中、走り出すとちょうど6,7人の集団に吸い込まれた。平らな森や草原の中を一列に走る。集団のペースは、自分にとって平地だとややきついが、登りや下りのペース変化で追いつく、といった塩梅。そのペースを利用して1時間ほど走る。竜ヶ岳への登りになると、ペースが変化し、集団は割れていく。自分は無理せず後ろの集団で登っていくことにした。
竜ヶ岳に登っても富士山はまったく見えず、頂上は雨が吹き荒れてる状態。2013の時は確か見事な富士が見えたっけ。景色を楽しむこともなくすぐに下っていく。
急斜面のジグザクの登山道に入ると、濡れた路面でテクニカルな下りになっていた。自然とペースは周りより速くなり、前の人を一人一人抜いていく。時々抜かれまい、と頑張る人もいるが、そこは無理せず着いていき、相手が一息入れるタイミングで抜いていく。20分ほど続く斜面で10人くらいは抜いただろうか。
下り切ると、そこからはロード3kmくらいでエイド。ここでは逆に1,2名抜き返された。これが僕のいつものペース。起伏のあるトレイルや下りで抜かして、登りや平たんなロードで抜かれる。

A3 本栖湖 66K 9:10:13 105位
エイドで直ぐに、スタッフの山田君が声をかけてくれた。あれ?天子が岳山系の尾根で会ったのに?スタッフも移動で大忙しなんだな。
このあたりは一番身体もメンタルも調子が良い時だったと思う。補給も2分程度で直ぐにエイドを出た。
次の区間は100%トレイルで、起伏の具合も好きなところ。いつものパターンでエイド後の登りで1,2人抜かれたが、その後の尾根道はリズム良く走ることができたと思う。何故か人と並走することがほとんどなかった。烏帽子岳の下りでまた何人か抜いたけど、それ以外はずっと自分のライトだけで走った。

A4 精進湖 78K 11:20:33 91位
相変わらず雨が降っている。ドロップバッグを受け取って、まずは腰をを探すとこれがあまり広くない。そして想定外に、防雨のテントはどうやらなさそうだ。とりあえず道路わきの縁石の上に座る、と暗くて分からなかったが雨水がたまってて、短パンがべちゃっと濡れて冷っとした。
しまった、と思ったが、もう濡れてしまったからしかたない。そのままそこに腰を下ろしてドロップバッグを開ける。用意したTo Do Listを上から見ていく。
①食料入れ替え、②GPS時計の充電、③アミノバイタル補給、④後半地図の入れ替え、⑤眠眠打破ピックアップ
⑥Tシャツの交換と、⑦靴交換は不要と判断してそのままにした。
エイドで暖かいスープをもらって出発。ピットイン時間は11分。毎年とほぼ同じだ。

走り出すと筋肉が冷えてすごく重たい。これは毎年ドロップバッグのあるエイド後に遭遇する想定内のこと。10分も休むと夜間の冷えた空気と雨で、筋肉は冷たくなってしまうのだ。出だしのペースは遅いのはしょうがない。
ここからは少し平坦なトレイルを回ったあと、しばらく退屈なロードの登りが続く。とにかく遅くても歩かないことを目標にひたひたと走る。

ロードに出てすぐに女子の高島選手(女子6位)にさっと抜かれる。とうていついていけないペース。自分のロードの遅さを、しみじみ感じるがここで無理してもしょうがない。
その後も何人かに抜かれる。景色の変わらない退屈なロードは、時間の進みが極端に遅く感じる。
ようやく、そろそろ終盤という頃に、後ろから「鹿島田さんだ!」という元気な声が聞こえた。振り向く間もなく、すっと横を通り過ぎたのは、久山君だった。大学の後輩で、数年前信越で初めて会い、それ以来ロングトレイルでは近い実力のライバル関係にある。今年初めて同じUTMFを走っていた。
「いいペースだね!」
「お互い頑張りっましょう!」
と声をかけ終わるころには、彼はもうするする10mも20mも先を走っていた。

自分のロードの遅さに腹立たしくなってきたが、ここで無理しても速く進めるわけじゃない。後半でまだ二転三転あるさ、焦らず行こう。

エイドを出て1時間近くしてようやく足和田山に登るトレイルに移る。
さあ、ここからペースを取り戻してしっかり登ろう、と思うが何故かペースが上がらず、返ってペースが鈍っていく。
ここで、エイドを出て1時間以上エネルギー補給をしておらず、ハンガーノックを起こしかけてることに気づいた。慌ててドライフルーツや、Power Barを補給する。
少し前から、胃がもたれるてきたのだが、その影響でエネルギー切れを起こしても空腹を感じなくなっている。それが補給のタイミングが遅れた要因だった。これ以降は空腹に関係なく早めのエネルギー補給を心掛けなければいけない。
補給してから10-20分たってようやく血糖値が上がるのを感じ、心拍もあがってきた。足和田山の下りに切り替わる頃には元気になった。

A5 勝山 78K 14:17:28 85位

前の区間で若干ハンガーノック気味にはなったけど、まだレースへの気力は十分ある。エイドの休憩は3分程度で次に向かう。
ここからは、1月前に試走したのでコースイメージが良くできてる。当面はまた苦手のロードだ、焦らず行こう。
この区間でも数人に抜かれただろうか。寒さもあるのだろうか、筋肉がいつも以上に固い感じがする。足の運び方や筋肉の使い方を走りながらいろいろ工夫してみるが、ペースは大きくは変わらない。
途中浅間神社でトイレに入った後、雨が再び強くなりバシャバシャと降ってきた。さすがに夜の気温低下に加えて厳しいコンディションになってきた。
車が激しく水を跳ねて走り去る国道脇の歩道を、とぼとぼとひたすら走る。我慢の時間帯だ。信号で誘導をしているスタッフが、「厳しいですね」と小さな声で気遣うように声をかけてくれた。それだけ僕が、険しい顔をしていたのかもしれない。
雨から逃れるためにも早く森に入りたい。ようやく忍野に向かう尾根への登り口まできた。
そこで追いついてきた選手が
「この雨はつらいっすね」
と話しかけてきた。
「もういい加減止んでくれないですかね」
「もうすぐ夜明けかな?」
「忍野に着くころには明るくなりますね」
そんな会話をし、取り止めもなく励ましあう。そんな場面が一番UTMFらしいといえるかもしれない。
その後二人とも無言になって、それぞれのペースで進むと、僕の方が少し余力があるのか、少しづつ先を行きはじめた。
忍野に向かう山越えの登りになるころ、空は白けてきた。と同時に雨も小降りになってきた。悪い時ばかりが続くもんじゃない。
気づくと数人の無言の集団が後ろに見え、追いつかれ、抜かれた。自分のペースが悪いわけじゃない。自分のペースを守って淡々と進む。やがて尾根から下るトレイルが現れ、快適な下りトレイルを数分行くと集落が見え、直ぐに忍野のエイドについた。

A6  忍野 114K 17:25:28 82位

着く前にエイドを「如何に無駄なく早く出れるか?」と考えてるうちは闘志があり、レースを競ってるといえるだろう。しかし、「いくばくかでも休めるか」と考えはじめると、士気が低下したサインでレースといえるか怪しくなる。

このエイドから、この「少し休もうか」という気持ちが出始めた。特別な理由なく休憩に8分以上かかってる。
雨も止んで空も明るくなっているが、気温はまだ低かった。ここから数キロ平たんな畑のなかの道をまわり、そこから山に登る。比較的楽に感じてよいパートだが、体の動きが悪く平地すら走るのがつらく感じた。多分筋肉が冷えて動かないのだろう。
平らな区間は4キロ程度、おそらく10人近くに抜かれた。スピードもキロ8分近く落ちてたのではないか。
登りになってもペースはあまり変わらなかった。大平山に向けた登りでもまた何人かの選手に抜かれた。エネルギー不足でもないが心拍も110を切る。ペース自体が落ちてきた。
淡々と進むしかない。やがて尾根を下るトレイルに入り、山中湖に向けて下っていく。湖畔に出ると観光地らしく、のんびり歩く家族やカップルがたくさんいる。最後のロードで、また一人二人抜かれた。信越で良く活躍する西城さんと、女子の星野さんだった。

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信越100mile 2022

<レースの記録を忘れていたので後から記載>  START 18:30  日没して約30分、暗闇の中スタート。序盤はスキー場の中の登りとトラバースを繰り返す。 2,30分で下りからロードに出てそこからは比較的平坦のパートが続く。1時間30分くらいで斑尾山に向けて急登が始まる。...