月曜日, 7月 14, 2008

世界遺産とスプリント


オロモウツの市庁舎広場にある聖三位一体の碑は世界遺産にも登録されてるらしい。
文化財を多く残す、歴史的景観のある街である。
その世界遺産を取り巻くように観客が集まり、開会式に引き続いてスプリントの決勝がスタートした。
こういう舞台で走れる権利を得た90人の選手。その中にいる番場さんは本当に素晴らしい。

歓声の中選手はスタートレーンを駆け抜けていく。市庁舎の角を曲がってスタートフラッグから旧市街の路地に消えていく。
ガイドブックに乗る名所をいくつか通りながら公園を走り、また戻ってくるまでにわずか13,4分。その間の走りも映像で会場に届く。会場で待つ観客はレースの状況が手に取るようにわかる。男女各1時間の競技時間まったく飽きることはない。

スプリント競技が世界選手権に採用されて7回目となる。街中をアリーナとするのは2003年以来だが、もっともスプリントイベントとしての魅力を発揮するのは今回のようなアーバン(街中)タイプである。アーバンタイプの場合は競技性、公平性を確保することが時として難しく、議論の対象にもなる。しかし、今回のようなスポーツイベントとしての成功を見ると、競技性を若干犠牲にしてでも、こうしたアリーナを用意した街中スプリントをするべきではないか、と感じる。

女子はシモーネ、ハニー不在の混戦の中、EOCでも優勝したノルウェーのアンネ・マルグリッテ・ホークセンが完勝。32歳にして遅咲きの初優勝を飾った。フィンランドのミナが2位。順当な結果ではある。地域性の全くない今回のようなレースで結局上位に北欧国旗が多く並ぶのは、やはり層の厚さだろうか。
中国選手が18位に入る健闘。その他2名の決勝選手は失格となったが、タイム的には10位台を狙える走りだった。成長著しいが、スタート、ゴールレーンを走る中国選手の走りを見る限り、今回の成績は潜在能力の片鱗でしかない。入賞を達成する日もそれ程遠くないだろう。
番場さんは36位。1番までのロングレッグでロスをしたとのことだが見事な結果である。日本唯一のファイナリストにチームは勇気付けられ、ポジティブな出だしを与えてくれた。
男女とも1番まではルートチョイスのあるロングレッグだった。スタートフラッグ直後の細い街路にうまく入れないとミスに繋がる。なかなか捻ったコンセプトだけど、トップ選手は難なくこなしているところを見るとやはり決勝のレベルは高い。

男子はロシアのアンドレイがスイスのダニエルを秒差でかわして優勝。2005年のロングに続いて強さを見せた。もはや今はオールラウンダーとして歴史に残るランナーの1人に数えられるだろう。ダニエル・フブマンはスプリントで3度目の2位に泣いたが、若手実力No.1の選手としてその安定した実力を見せた。一方過去2連覇しているスウェーデンのエミルは、中継コントロールをスルーして失格。スクリーンでその瞬間を何千人の観客に目撃され、残念な結果となった。

選手として一度は走りたいと思わせるような、WOCスプリント。
スプリントには可能性がある、日本では時にそういわれる。確かに地域性がほとんどない分、欧州から遠い日本のハンディは小さい。しかし今回の決勝を見ていて、フィジカル面だけでなく、ナビゲーションにおいても、レベルの高さが印象に残った。
可能性はもちろんあるが、可能性を現実にしていく、その方法と実行。真剣に考えねばなるまい。

もっとも今はそんなことを考えている時ではない。帰りの飛行機までとっておこう。

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