火曜日, 8月 12, 2008

五輪と母と辛口のコメンテータ

北京五輪がようやく盛り上がってきた。


今日は北島の100mの話題でもちきり。あれほど強いと鳥肌が立ってくる。競技者としてただ尊敬するのみ。
僕らの世界でも、ティエリーやシモーネのように、常勝の強さが信じられない選手もいるけど、同じ日本人に、あれだけ勝負強さを発揮した選手がいると、僕らの潜在的な民族的コンプレックスを一蹴してくれる。背が低いとか、寸胴だとかそんなのはいい訳さ、って。

一方、全体的な五輪の成績は前評判に比べると低調らしい。これからまだまだだけど、今までのところ日本選手の成績が期待されたほどでない。

見ていて残念なの確かだが、そこには選手の色々な表情、心境も垣間見えてくる。それはそれで心に訴えるものもある。
例えば谷なんて、今まで正直それ程好きな選手ではなく、4年前連覇したアテネの時もほとんど興味はなかった。だけど今回終わった時の表情やメデ ィアへの毅然とした対応を見て、彼女の背景~子育てのハンディや年齢と戦い~が垣間見えたようで、しんみりと来て涙を誘った。

一方で他国の選手に目を移すと、個性的な選手、素晴らしい選手が世界には沢山いて、ふとテレビを見ながら俄かフ ァンになる。普段馴染みのない国のアスリートの美しさにその国の風土や文化を想像するのも愉しいもんだ。水泳を見ればノルウェーのオーエン選手や韓国の朴選手なんて、伸び盛りの若者らしいオーラがいっぱいでなんとも魅力的ではないか。

ナショナリズムは感じるけれど、日本チームのメダルはメインディッシュではな い。スパイスとまではいわないけれど、他の見方がたくさんある。

ただそういう楽しみ方はあまり一般的でないらしい。
「やわらちゃんは金じゃなきゃものたりないな」、無神経なコメンテータの言葉に驚いた。女性アスリートならではの苦労も想像できないのか。
あるいは、昨日実家で本を読んでいたら、テレビを見ていた母が興奮して「やっと 金メダルとったよ!」と知らせに着た。彼女には、「誰」が「なんの競技」で「どんな風に」優勝したかは問題ではな く、日本に初の金メダルが訪れたことが重要なのだ。

別に母を責めるつもりはなし、コメンテータの言葉も評論の一つ。メダルの数勘定に忙しいメディアを通じた今の日本は全体的にはそういう傾向にある。いやむしろ考えてみれば、メダルという結果重視の見方、世間の厳しい目が、スポー ツに対する正しい見方なのかもしれない。

僕の場合、そういう見方に辟易してしまう。しかしそれは、自分が競技で成功することの難しさ、色々な矛盾を感じ、結局克服できなか ったことで、五輪でも失望した競技者への共感を生み、敗北への許容を生んでいるのだろう。

シュートを失敗して、この世の終わりのように天を仰ぐ選手。
「なーにあれ、へたくそ、ぜんぜんだめじゃん」、テレビを横目で見ながら一蹴する母。
あ~、自分は絶対にあんなこといえないなあ。あのプレーだって、何百万人の選手から選抜された素質が、それこそ何万回の練習を繰り返した結果だと思うと。

でもそれは、アマチュア的な、主観的な「がんばった」を軸に評価する甘い見方なのだろう。

渡る世間はなかなか厳しい。

自宅や実家で娘の面倒を見てのんびり過ごす週末を送っている。大分リラックスした、いや、もう少し正直に言えば怠惰な生活をしている。
WOCを目指してトレーニングしていた時、自分は生き生きとしていた。そう2歳分くらいは若返っていただろう。その反動で終わった直後は脱力感で生気が消えた。数日で一気に3歳分くらい老け込んだ。

結局差し引き実年齢分歳とって辻褄はあってるわけだ。それをこの10年以上繰り返してきたのだ。

この数日、ようやく急速な老化進行が止まった感がある。五輪を見て元気を取り戻し た。
そう、そろそろせめて数ヶ月分くらいは若返えろう

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