多分長い人生の中で、のろけても許されるのは3度くらいだろう。
初めて恋人ができた時、次は新婚の時、そして今が最後の3度目。
会社から帰って、軽いトレーニングをしシャワーを浴びる。玉のような汗をかきながら取りあえず短パンを履き、居間でビール片手に夕食をつまみはじめた。
宵っ張りな娘はまだ起きている。そろそろ3歳でしゃべりたい盛り。ちゃぶ台の周りをちょろちょろ廻りながら今日一日の出来事を報告。耳を傾けて晩酌する。小市民的な日常の楽しみである。
350mLの缶ビールはあっという間に空になった。
最後の数滴を惜しむようにグラスに注いた瞬間、娘が一目散に台所に走り、冷蔵庫の最下段を力一杯あけて、もぐりこむように中に手を伸ばした。
台所の妻と目があって唖然。まさか。。。
「オ星様ノビールダヨ、オトウサンドウゾ」
指を立ててにっこり笑うポーズつき。
重いサッポロの350ml缶を両手で持ってちゃぶ台に走ってきた。
とうちゃんは嬉しくて涙が出んばかり。かあちゃんは苦虫をつぶしたような顔。
環境とは恐ろしい。この狭い我が家が世界の全ての彼女にとって、父ちゃんの缶ビールが空になったら次のビールが出てくるというのは、きっとりんごが木から落ちるのと同じように当たり前の法則なのだろう。
それにしてもこういう気の利き方は自分のDNAにはかけらもない。恐らくサービス業出身の妻から受け継いだ血なのだろう。おそるべし。
くれぐれも将来職業を間違えないように・・・。
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