金曜日, 10月 30, 2009

第一ハードル


ついこの間生まれたと思った娘ももう3歳。育児の手間を少しでも省きたいうちら夫婦は来年から3年保育の私立幼稚園に入れることにした。
近所でそれなりに評判が良く、ほどほど庶民的な幼稚園を選び、パンフレットと願書を取り寄せた。
見てびっくり。入学金に施設費、教材費。。。。制服の費用も。あの人形みたいにちっちゃい身体なのにこの値段?? 入学時に必要なお金は裕に20万は超える。そして月々の月謝。結構高いなあ。
子育てでは先輩の同僚に会社で聞いてみると、まあそんなもんじゃない?うちもそんな感じだった、とのこと。
ふーん、どうやら相場はそんなものらしい。
とうとう、やってきた教育費。これから20年近く避けて通れない。頭では分かっていたけど今まで実感はわかなかった。でもこれは序の口。これからじりじりとすねをかじられていくんだろう。そう思うと3人を育てた自分の両親を含め、世の親達には頭があがらない。その辺の酔っ払いのおとっつぁんも、席の細い隙間にすべりこむおばちゃんも、みーんなとっても偉大に感じてくるのだ。

面接を数日後に控えた夕方。オフィスのデスク横に置いたカバンの仲で携帯が短く鳴った。
妻からのメール。この時間にめずらしい。急ぎかしら?ページをめくると、興奮した様子が見て取れた。

「先に試験を受けた友達から情報得たよ、結構難しいみたい・・・・調査票もあるの。帰ったら作戦会議よ」

面接ったって、3歳の子供のどこ見て甲乙つけんだろう?調査票といっても、長所、短所そりゃみんなあるし。
それでも二人であれこれ作戦。「志望動機は?」 「音楽などの多彩な課外活動を行なう点が娘の感性を育むのに適していると。。。」「まあありふれてるけど、そんなもんじゃない?」

さて当日、雨の中おじいちゃんの運転する車で園へ。スーツはすごく抵抗があったけど、親父のこだわりで子供に迷惑をかけるのもいやだったので、無難なスーツを着ていくことにした。
ところが正解。入り口に来ると、どこの親もみーんな銀行員みたいなダーク系スーツ。

「お座りください」
幼稚園の若い茶髪の先生がにっこり進めてくれた。
そういわれても。。。廊下に並んだ椅子は幼児用。
みんな進められるままに腰をかがめる。銀行員が並んでヤンキー座りしているようで妙な風景。

そのうち一組一組が部屋に入り、ようやく我が家の番。
面接は2部構成だった。まずは若い可愛い先生がいる机に向かう。先生はにこにこしながらクイズを出しはじめる。「大きいまるはどっちかな?」
「ももちゃんの好きな色は?じゃあピンクのクレヨンとってくれるかな?」
その間、親は子供をはさんでやっぱり極小の椅子にしゃがんで待つ。
娘の受け答えに、ついつい熱くなり前かがみになる。
(ほら、それじゃなくて!こっちでしょ!)心の声が口の先まで出かかり、慌てて飲み込んだ。横を見ると妻も同じ様子。目をくるくるさせて娘の一挙一動を凝視していた。

第二部、場所をかえて今度は親の面談。ベテランらしい先生登場。調査表に書かれたことなどを中心に会話。相手に失礼にならないように、でもそれなりに親としてのポリシーを示すように絶妙のバランスを狙って受け答え。でも親の必死な回答をよそに、飽きてきた娘は指をなめながら机につっぷした。(こら!お前ここで寝るな!) ま、だれた時のだらしない姿勢は親譲りだからしょうがない。

無事終了。随分長く感じたけど、せいぜい10分か15分だろうか。またまた美人の先生に見送られて玄関を後にした。それにしてもこの幼稚園はなんでこんなに可愛い先生が多いんだろう?気がつくと早く4月が来ないかなと、なんだかわくわくしてきた。ばかだなあ、男って。

数日後、無事合格のお知らせが届いた。ほっと一安心。
娘は人生最初のちょっとしたハードルを越えたことなんて、まったく分かってない。
いや、これは娘じゃなくて、親にとってのハードルだったのかも。








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