金曜日, 2月 19, 2016

UTMF2015 その2 前半 スタートからこどもの国(A4)まで

START 0:0:10  0km 168位

昨年、前半のんびり行こうと、スタート位置を気にしなかったら序盤の渋滞がとんでもなくひどくて10分以上ロスしてしまった。今年はそれに懲りてそこそこ前に並んでスタート。
結果、初めの数分は混雑してたけどあまりストレスなく走りはじめられた。

足和田山の登り口で20~30秒程度の渋滞があったけど、それほど気にならない。
走り始めて数十分。頂上につく少し手前だろうか、足軽に脇を通り抜けていくランナーが。ナンバービブを見ると滝川さんだった。失礼ながら後ろから見る姿は筋肉の質といい、とても50代の選手には思えなかった。この後、最後の最後で見かけることになるが、結局勝つことはできなかった。

雨ややむことはなく、昨日からの雨で路面はあまり良い状態ではない。足和田山の下りになって泥濘の足場の悪い下りが続く。そこで選手のペースが大きくばらついていた。下りの苦手な選手がV字の亀裂状になったトレイルの中央で小さなステップでゆっくり進むのに対して、慣れている選手は軽快なステップで左右のバンクから抜いていく。

この部分は後ろになると渋滞が起こるかもしれない。この区間で十人以上の選手を抜いた。

やがて平らな森になって車道をくぐり、昨年の最終エイドを過ぎてロードに出る。2年前はこの舗装道でがんばりすぎた反省から、抜かれることを気にせずに自分のペースを守る。再び森の中のトレイルとなりすぐにA1に到着


A1 2:13:45  19.1km  159位

水をボトルに足して、バナナを2つほど食べ、2分ほどの休憩で次のエイドに向かう。

このあたりは富士山麓特有の溶岩地形の原生林が続く。平らで快適なトレイルから烏帽子岳に向かう急登に切り替わる。心拍が上がりすぎないように注意して、HRが150を超えると歩き、145程度まで下がると走る、の繰り返し。
尾根道に出ても同じリズムで走る。抜いたり抜かれたりだが、トータルすると少しづつ抜いていく感じ。最後のエイド手前の下りでまとめて数人抜いた。脚を後半に温存するためにも下りはペースのあがりすぎに注意したが、それでも周りの人と比べてペースが速いようだ。


A2 4:06:10  31.5km  128位

ここも水の補給とバナナで軽く補給して1分ちょっとでエイドを出る。

走り初めは湖畔のロードが続く。ほぼ周りと同じペースで進む。本来は湖畔が終わるところで、右手の急斜面を竜ヶ岳に向けて登るが、今回のコース変更でマーキングは左手の平らな道に曲がる。ここから麓までは起伏の少ないトレイルが続く。

この付近の道のどこかで、「105位」というカウントの声を聞いた。あれ?以外にまだ順位は下の方だな、ここから抜く人の数を数えてこう。

しばらくして暗くなりライトを点灯。17時40分くらいだろう。比高10―20m程度の気持ちよいアップダウンが続く森。ちょうどペースが合う3人ほどのパックで気持ち良く走り続ける。

竜ヶ岳の昇り口を分岐してから1時間ちょっと、再び本来の竜ヶ岳超えのコースと合流する。結局ここのコース変更は迂回してもタイムは縮まらないか、むしろ若干長かったくらいだろうか。

麓まではさらに1時間、比較的見晴らしのよい草地が点在する平地を進む。このエリアでトータル10人程度抜いてWに到着


W1 6:22:14  46.5km  93位 

バナナ2かけら、オレンジ、ポテトチップ少々とドライフルーツ一握りがだいたい決まった補給パターン。
次はコース一番の難関天子ガ岳山塊。しかも今回A3の位置が遠くなり、今まで以上に長い区間、23kmある。5時間近いあいだエイドがないので、補給を十分に考える必要がある。

夜になっても断続的な雨は止まなかった。ただ気温は比較的高くて寒さは全く感じず、水の消費もその時点までで想定以上に多かった。水分に注意し、念のため650mlのボトルの他、450mlのプラバック2つに水を入れた。ひとつはかばんに入らないので、片手に持って走りはじめる。目安は登り切るまでに1本、上の尾根で1本、下りからエイドまでで1本。

エイドから数分で、壁のような急斜面が現れる。案の上昨晩から降り続く雨のせいで、登り斜面は滑りやすい。足を滑らせて体力を消耗するのは避けたいので、しっかり足場を確保できるところを選んで落ち着いて登ることを心がける。

この登り口で、勢いよく登ってくる女性にあっという間に抜かれた。全体5位になった、高島選手だった。あの登りのスピードには到底ついていけない。

この登りの標高差800mは辛いというよりも、退屈という表現がしっくりくる。

まだ序盤のため、筋力は多少余らせて登るので身体を限界に追い込むわけではないが、ひたすら続く単調な登りに辟易してしまう。もともと道でないような山の急斜面をジグザグジグザグ延々と登る。前にも後ろにもポツポツ見えるライトも同じ線上で変わらなく、進んでるんだかわからなくなる。

それでも半分くらい登ると途中から少し登りのリズムに変化が出る。それが気持ち的には「進んでる感」につながって不安が和らぐ。

8割ほど登り続け、エイドから数えて5人目を抜いた時、ふと「鹿島田さんですか?」という声が聞こえた。振り返ると柳下君だった。ペースが鈍っているようだ。
「実はスタートした時から調子がよくないんです。」

そういう時もある。今日自分は幸い良い状態でスタートに立てたけど。いつもそうとは限らない。
僕より遥かに努力して望んでる選手だけに、なんと声をかけて良いかわからず、「あまり無理しないで」とだけ声をかけて先に進んだ。

ようやく雪見岳の頂上。ふう。さてやっと下り。

ところが、笹に包まれた登山道は泥濘でつるつるになっていた。

自分としては、そういうテクニカルな下りは得意な部類だ。身体を斜め45度に傾けて右手を後ろ斜面に半分つきながら、足場を探して下る。

でもこの日、この区間の泥濘は相当にひどかった。身の危険を感じるような下りではないけれど、尻もちをついて、むしろすべるのを覚悟して降りるところが何度もあった。

しばらくして、遥か後ろの方で女性の悲鳴が夜空に鳴り響いた。日本語には聞こえないから海外選手だろうか。ジェットコースターに乗ったような悲鳴なので、泥濘の悪戦苦闘を楽しんでるような感じだった。

この区間、一人二人の選手を抜いて、しばらくして漸く岩が点在して、グリップしやすい尾根に出た。少しほっとする。

この尾根区間は、反時計まわりだとそれ程辛くはなく、ペースを掴んで走ることができる。昨年はものすごく苦労した区間のことをボンヤリ思い出す。意外とあっさり長者ヶ岳についてしまった。そこからまた急な斜面を富士宮に向けて下りていく。

下山道は、記憶の限り、天子ガ岳より、下りやすい道だ。ここでも数人の選手を抜くが、1人だけボールのように弾んで降りていく海外女性選手にあっという間に抜かれる。きっとさっきの尾根で悲鳴をあげていた選手だろう。後ろ姿が、もう楽しくてしょうがない、という感じだった。すごい下りの筋力をもってるもんだ。

下りの中盤からペースよく下る3人の集団に追いつき、合流した。自分のペースだと少しだけ速く行けそうだけど、後半の筋力温存も意識してペースを合わせて走る。

先頭は見たことのある長い脚、、、、昨年も一時ご一緒した。エルワンさんだった。僕と同年代のフランス出身日本在住の選手。北丹沢や富士登山競走ではいつも僕より少し上の成績をとっている。彼に追いついたことで、ペースは悪くないのかもしれないと少しほっとする。

下りきってからは平たんなロード。前の選手がそこで誘導の役員に「エイドまで何キロですか?」と尋ねた。誘導員の答えをうまく聞き取れなかったが「10キロ」といったように思う。

え?そんなに? じゃあまだ1時間はゆうにかかるじゃないか。A3が少し遠くなったとはいえ、山を下りてまだそんな距離があるとは想定外。ホントかな?少し疑問に思いながらも、残りの水が少し気になった。

先ほど下りで一緒だった3人のうち、エルワンさんともう一人の選手にはそうそうに先に行かれて見えなくなった。僕はどうも平地の走りが弱い。特にゆるい登りは圧倒的に遅いようだ。自分のペースは変えようがないのでペタペタと脚の筋肉を使わないように手を振って走る。そう、原良和選手の走りをイメージして。

やがて、昨年までの天子ガ岳から下山するコースと合流し、市街地に入って昨年エイドだった小学校を通過。深夜でひっそりしている。この時点でもうW1から4時間以上経過。このあたりで水のボトルが空になった。1.5Lをもって出たのは正解だった。まだ30分ほどあるだろうことを想定して、ドライフルーツでカロリーも補給しておく。

A3まではやがてだらだらとした登り道になる。今までに経験してない草地の脇を登る道、微妙な角度が歩くにはゆるく、走るには辛い。そろそろだろうか、そろそろだろうか、水も切れて気分的には辛い区間だった。

もういい加減登りすぎじゃないか?と思う頃、道が曲がって折り返し、下りに向かった。そこから5分程度、ようやくでA3エイドの灯りが見えた。


A3 11:15:21  69.6km  73位

水をしっかり補給。前半のどこかでうどんを食べた記憶があるが、ここのエイドだったろうか。

エイドにはご夫婦ボランティアに参加されている佐藤さんがいた。「ここまでいいペースじゃないですか?」と声をかけてくれるた。「そうですね~」
自分ではまだよいのかいまいちなのか分からないけど、自分のペースで進めてることは確かだと思う。

さて、ここからA4までは、2年前に疲労を徐々に感じ、ペースの鈍りを感じた区間。今年も走りはじめると足取りが重い。前半1/3を過ぎたところでこの脚では、ちょっと今回はきついかな、そんな弱気が頭をかすめる。

弱気になると、後ろばかりが気になる。闇夜に後続のライトが近づいてくることばかり気にしてしまう。
実際、ぽつりと見えたライトがみるみる近づいて、テンポの良い選手に一人抜かれた。今回のレースで初めて弱気になる。それでも我慢して自分のペースを維持することに努める。その後少しづつリズムが掴めてくる。むしろ前に行く選手の光が段々近くなり、2,3名の選手を追い抜くことになった。

このレースは、絶えず自分の調子が小さな波で変化する。

抜いたうちの一人はエルワンさんだった、A3までのロードで抜かれた分、起伏の続くトレイルで追いついた形だ。

自分は、細かい起伏のあるトレイルと下りが速く、急登とロードが遅いらしい。


W 12:28:03  76.3km  63位

水を補給してすぐ進む。ここまでで12時間30分。こどもの国のA4は14時間30分くらいになりそうだ。想定より30分~1時間遅い。それほどペースダウンした自覚もないので、はじめのタイム設定が少し速すぎたろうか。

調度エイドに一緒にいた選手が、役員に「トップはどれくらい?」と聞いていた。「3時間くらい前かな」

そうだとすればペースとしてはそれほど悪くない。

ここからA4までは一番苦手な区間である。実際後で見ると、序盤と、(コースロストした)A5までを除いて一番順位が悪い。中盤の砂利道はほとんど平坦に近い微妙な登りなのだが、どうしても走り続けることができない。100歩走っては30歩歩くを繰り返す。案の上幾人かの選手に抜かれる。再びエルワンさんにも抜かれる。
抜かれる人を数えて5人までにしよう、と思いながら走り続ける。

本当にここは長い。

漸く子供の国の気配を感じる。闇夜に普通はそんなことは分からないが、オリエンティアは慣れたテレインで、森と道の曲がる風景でそれを感じる。そうなると気分が高揚し、少しペースがあがり走り続けられるようになる。

結局3人に抜かれるだけでこの区間を切り抜けた。



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<レースの記録を忘れていたので後から記載>  START 18:30  日没して約30分、暗闇の中スタート。序盤はスキー場の中の登りとトラバースを繰り返す。 2,30分で下りからロードに出てそこからは比較的平坦のパートが続く。1時間30分くらいで斑尾山に向けて急登が始まる。...