土曜日, 9月 20, 2008

ドレイクの方程式

というものがある。

SFの好きな人は知っていると思うが、この銀河系に知的生命体が存在する星の数を計算で求める方程式である。そんなロマンチックな式があるんだろうかとわくわくしてその式を見ると少々落胆する。

N=R*×fp×ne×fl×fi×fc×L

考案者の名前付きで仰々しく流布されるには、少々稚拙な方程式にも思える。しかもその係数は実際に計算できない値ばかり。例えばneは「1 つの恒星系で生命の存在が可能となる範囲にある惑星の平均数」などである。こんな係数に数字与えられるのか?

この式を使っても、本当に知的生命のいる星の数を知ることはできないだろう。しかし、この式は、知的生命体が生まれる可能性を探ぐっていく上で、その条件、あるいは論点を整理してくれる。

そういう意味では、この方程式は大いに役立つし、有名になるだけの価値があるのだろう。

同じようにまねをしてみたくもなる。例えばこんなのどうだろう?

カシマダの方程式

ある国Aのある年において、WOC予選を通過できる選手の数Naを与える方程式

Na=R*×fp×ne×fl×fi×fc×L

R*   :その国で1年間に生まれる子供の数
fp   :その中でオリエンテーリングと出会い、面白いと思う人の割合
ne   :その選手の中で、走力的素質が十分にある選手の割合
fl    :その選手の中で、技術的素質が十分にある選手の割合
fi:   :その中で上を目指して十分なトレーニングの努力を継続する選手の割合
fe   :その選手の中で、怪我、病気その他不可避な外的要因なく競技を続けられる選手の割合
L   :ピークパフォーマンスを出せる平均的年数

ドレイクの方程式と違って、この方程式の左辺、つまりNaは既知である。
例えば今の日本は、Naは男子で0.5未満、女子は約1である。

各国連盟の強化担当者がこの式に興味を示してくれるだろうか?
いやこれだけでは当たり前。
では、Naを大きくする方法。例えば今の日本でNaを2,3あるいは5、10にする方法をサジェストできたら、それはとっても魅力的な式になかもしれない。

それにはそもそも各係数がどの程度の数字かを想定せねばならない。

これ自体大きな議論になるが、かなり私見を交えると以下の数字になる。
例えば日本男子を考えた時、

R* =500,000
fp=0.0004
ne=0.01(100人に1人)
fl=0.2(5人に1人)
fi=0.2(5人に1人)
fe=0.5(2人に1人)
L=10

つまり

1年間に生まれる男子50万人
そのうちオリエンテーリングを始める男子50万人×0.0004=200人
そのうち、十分な走力の才能がある人200人×0.02=1人
そのうち、十分な技術的才能がある人2人×0.2=0.4人

そのうち、十分なトレーニングの努力ができる選手の割合0.4人×0.2=0.08人

そのうち、幸運にも怪我などしないで順調に成長できる人の割合0.08人×0.5=0.04人

つまりそのような選手25年に1人。その選手が10年活躍すれば、そういう選手がチームにいる可能性は

0.04×10=0.4人

となる。
ま、机上の空論ではある。でももう少し先に進もう。

このどこかの数字を大幅に改善することが、良い選手を多く生む条件となる。

例えば、
fpを大きくするのは、オリエンテーリングの普及、誰彼問わず、数多くの選手に始めてもらうこと。
neを大きくするのは、身体的能力の高い選手、あるいは素質のある選手に多く挑戦してもらうこと。
flを大きくするのは、ナビゲーション能力の素質のある選手に多く挑戦してもらうこと。
fiを大きくするのは、そういった素質のある選手を育てる環境を改善すること。
feは、怪我や病気などを予防すること。

さて、では、強化の秘訣となる改善策は何か? 上記カシマダの式から何かは見えたか?
やっぱり方程式は方程式。残念ながら何かを語ってくれるわけではない。当たり前だが、ここから何を読み取るかは人によってことなる。
やっぱり、強化策を導き出す方程式の創設者として名をはせることはできなさそうである。

ただ、こうして整理してみると分かるのは、強化というのは、競技の裾野に広く渡っているのだということ。本当の意味での強化策というのはピラミッドの頂点に関係している部分は限定的で、頂点を摘んで上げる策を練っているだけでは不十分なのだ。
裾野全体を見渡して、普及や広い競技層とリンクすることが効果を生むことは間違いないだろう。そろそろそういう議論に本格的に遷るべき時に感じる。
お隣のスポーツを見ていても。

2 件のコメント:

Saxy Orienteer さんのコメント...

充分意味があると思うよ。
のっけからすると、現在の強化はこの方程式をあまり考慮していないわけじゃん?fpはもちろん、neやflを増やすための施策は取っていないし。まあflはどう判断するのか分からないけど。fiだって影響できそうだけど、あまり有効に働きかけていないし、等々。現在の強化は、方程式を無視し、直接Naを影響しようとしているように見えるよ。
自分だったら、fpを犠牲にしてでも(そうはならないと思うけど)純然たる走るスポーツとしてオリエンテーリングをアピールすることでneを高め(オリエンテーリング界全体として)、適切な目標大会を新設したり、対外的にアピールできる大会を作ることで意欲を維持しfiを高めるのが大事だと思うけど。あとは、より早い年齢ではじめさせることで、Lを長くすることかな。現在は大学ではじめるのが大半なんでピークはおそらく26歳以降になっているのでは?諦めを早くしている要因でもあると思うし。

KK さんのコメント...

ワールドカップのサッカーでも、出場をかなえるのは岡田ジャパンの使命かもしれないね。でも将来的にWCで優勝を目指すとしたら、そういうレベルの話じゃない。きっと地域のサッカークラブのあり方まで帰納されると思う。オリエンテーリングも同じことがいえるかもしれない。
多分ナビさんと僕の考えはかなり近いと思う。
でもそれがーつまり強化が普及まで帰納されることがー今のOL界全体のコンセンサスかどうかは、怪しいと思うんだ。
特に普及のあり方はオリエンテーリング界という集団全体の質を変えるわけだから。誰でも自分の馴染めない方向になって欲しくはない。そこが、強くなりたい気持ちと、居心地がいいままでいい気持ちのジレンマなんだよね。

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