打ち合わせが終わって時計を見るとまだ6時。これ幸いと、最後のチャンスで街に出た。
クリスマス・イブの街は華やかなイルミネーションに溢れてる。
丸の内線の銀座駅で降り、中央通りを歩いた。
こんなところを歩くのはいつ以来だろう?
すっかり自転車通勤が馴染んでしまい、人ごみを歩くのが妙にぎこちない。
幸せそうなカップルの間を縫うようにして、お目当ての店についた。
一時日本に進出した時に話題になったH&M。でも意外と入り口は控えめである。
店内もこじんまりしていて、レイアウトはあまり機能的でない。
それでも、手ごろな値段で、それこそ欧州の女性が好んで着そうな服が所狭しとならんでいた。
ユニクロやGAPとはまた違うニュアンスだ。これがまた違う客層をつかむのだろうか。
袋小路の多い店内をうろうろして、ようやく目星をつけたセーターは6000円弱。似合いそうだけどもう少し華やかな色合いがいいな。でも他に手ごろなものが見つからない。
婦人服売り場に慣れない男にとっては、まるでカラータイマーのように心臓がどくどく鳴り、落ち着きがなくなってくる。
誰が見ているわけでもないのに。じわり汗をかいてくる。
他の店に行く時間もないし。
いいや、これで。
手にとってレジの列についた。
ほっと一安心。時計を見て、急ぎ足で新橋駅に向かう。
途中、クリスマスセールでしがないイルミネーションをしている本屋のワゴンセールが目にとまった。
「DVDお買い得、赤頭巾ちゃん、ヘンゼルとグレーテル、白雪姫」
やや埃っぽいような気もしたが。5秒ほど考えて、500円玉を財布から取り出し、店内のレジに向かった。
今年も出勤日はあと2日。仕事はひと段落したのやら、
でも何かと「では、年明けに」と逃げ切り体制に入った。
2008年ももうおしまい。
本当に1年経つのが早い。
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