久しぶりに計画通りのトレーニングをこなせた充実感で、いくぶんペースも良く公園を後にした。
夕暮れの中、モノレールの大井競馬場駅に近い運河を渡る橋にさしかかったところで、数人の高校生の自転車集団に抜かれた。時々奇声を上げながら走るその集団は、数十m先程の歩道で横並びに止まり、なにやらハンドルを振り回してじゃれあっていた。
歩道を占領した高校生の脇は一人やっと通れる程度しかあいていない。まったく迷惑な餓鬼どもだ、と不愉快に感じながらも、自分の20年前を思えば多少はしかたない。
近づくにつれて、彼らの片方の後輪に、もう片方の自転車の車止めがひかかったらしいことがわかった。じゃれあっている間にもつれたのだろう。それでしきりにハンドルをふりまわしていたのだ。
次の瞬間本能的に危険を感じた。まさか、その可能性は限りなく低い・・・。
いくぶんスピードトレーニング時のアドレナリンが残った脳は、数十センチの隙間を前にスピードを緩めることはしなかった。
考えが甘かった。
彼等の横をすっと通り過ぎた瞬間に、左足の脛に激痛が走った。
「いて!!!」
からまっていた2つの自転車は、その瞬間はずれ、反動でどこの部品かわからないが、走り抜けるこちらの脛に強くあたったのだ。
その場にうずくまった瞬間、かーと頭に血が上った。
「あぶないじゃないか!お前らっ」
痛みより、腹立たしさが先にたった。
高校生は皆しゅんと黙り、平謝りしている。
「どこの高校だ?ここは皆が歩く場所だぞ!」
なにを言ったか覚えてないが、ひとしきりそんな文句をいった。高校生は素直にあやまり続けた。
妙に素直であどけなさの残る高校生の顔を見ていて、次第に怒りがしぼんできた。
まあ彼らも故意でやったわけではない。いつまで怒ってても仕方あるまい。こっちも体も冷えるし。
「じゃあこれから気をつけるんだぞ」
と言い残して走り続けた。
「すみませんでした!!」彼らは声を揃えて横を自転車で抜き、前方に去っていった。
彼らは見えなくなった、汗が妙に冷たく感じる。
次の瞬間痛みが結構酷いのに気付いた。
スピードが上げられない。畜生結構痛いな。少し痛みが収まってから走ろう。
とぼとぼ歩き始めて、脚を初めて見て驚いた。
脛より下は真っ赤。靴も鮮血で染まっている。
脛の傷は2cmほどきれて、腫れて膨れ上がっている。
「あちゃ、しまった。」
結局、近くのコンビニに飛び込んで氷で冷やし、その後大事をとってタクシーで帰宅。
次の日八ヶ岳に行く予定はキャンセルし、近くの医者で5針ほど縫う羽目になった。
幸い膝などの関節ではなく、打撲と外傷だけ。痛みが引けば直ぐに走ることはできる。
「名前と住所くらい聞いておけばよかったのに」
確かに常識的にはそうだよなあ。でもその瞬間はそんな酷いとは思わなかったのだ。
治療費よりも、GWの予定を色々変えなくてはならず、そのことが頭いたい。
そういえば10年ほど前、ジョギング中に、交差点で右折車に軽くはねられたことがある。
その時も、「気をつけてくださいよ!」と文句を言っただけですましてしまったことがあったっけ。
運動中というのは、よほどの痛みでないと、感じないものなのである。
トレーニング中の事故には気をつけましょう。
金曜日, 5月 02, 2008
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