なだらかな丘が延々と続くツートンカラーの牧草地と森。車を降りて、緩い丘に登る一本道をプレスタートに向けて歩く。朝露で濡れた草の匂い。典型的な中欧の牧歌的風景に「チェコに来てるんだな」と改めて感じる。いよいよ予選。3年ぶりのWOCのスタート地区。
最近のIT技術の進歩は目を見張るものがある。前日の夜に、ブリテンに乗っている緯度経度情報と地図から、Google Earthでテレインの全容は予習済みだった。川沿いの急斜面が特徴的な西側と、平坦な東側。2つの森を分断する牧草地。スタート位置とゴール位置から、前半は急斜面後半は緩斜面。ルートチョイスが鍵を握る前半と、トリッキーな植生の中のファインなオリエンテーリングが中盤以降。
スタートが近づくにつれ感じる緊張感はやっぱりWOC。座っていても心拍が高い。モデルマップのジョギングですぐにHRは150を超える。それでもスタート時は思いの他冷静になれた。
10.9kmup400mのコース。概ね予想通りの展開だった。前半は菜花台を思わせるテレイン。ロングレッグで飛ばした中盤以降は、切りと開きと見通しの悪い森のいやらしいコンビネーションにコントロールが集中する。それでも頭を捻るようなルートチョイスはなく、比較的素直なコースだといえるだろう。
明らかなミスは2番の崖付近を少しうろった30秒程度。その他は10秒程度のロスを何回か感じたが藪のコントロールではある程度やむを得ない。ほぼ今の実力を出し切ったと思う。体力的にもほぼベストだった。70分のレースでHR平均は176。道走りや登りでの追い込みにも身体は反応してくれた。
結果はトップと12分差の72分台。ボーダからは3分45秒程度。20位。対トップ比120%は過去の成績と比較しても決して悪くはない。しかし予選通過はならなかった。
今の走力、ナビゲーション技術の限界ギリギリのレースは出来た。残念だが実力が足りない。この結果は自分のこの1年の準備を表す、とても正当な評価なのだ。そう思うとゴール後に何ともいえない充実感が沸いてきた。何故か目が潤んできた。こんな感覚をWOCレース後に感じたのはいつ以来だろう?
ダウンをしに会場から延々と続く牧草地を走った。青空に柔らかい緑の牧草地。こういう風景の中、レース後の疲労を癒すダウンジョグが出来る幸せ。
思えばこの1年、いろいろな人の好意、協力の元に走り続けてきた。当初目指した予選突破は達成できなかった。日本チームの成績にも目に見える貢献はできなかった。
それでももう一度目指して走り続けてよかった、心の底からそう思う。
この日残念ながら男子、女子ともに予選通過はできなかった。
明後日はミドル。選手の応援に廻る。力をためていた善徳や俊介も出走する。みな予選通過目指してがんばれ!
2 件のコメント:
お疲れ様でした。充実したレースが出来てよかったです。世界の舞台でベストなレースが出来ることはとても幸せなことだったのではと思います。引き続き日本チームの活躍を応援しています。
ありがとう。こころの底ではWOCでベストのレースをすることを夢見ていたのかも。でもそれだけでは日本代表としては失格だよね。結果を出してなんぼ。
応援してくれた多くの人の期待には添えなかったけど、日本としては、後2種目残っています。一つでも上の順位を目指して、皆にがんばって欲しいね。
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