月曜日, 6月 09, 2008

赤城山にカンパイ

「菅平の合宿に行こうよ~」
妻の猛烈な誘いをやんわりと断って、赤城山トレイルに申し込んだ。
WOCロング前にタフな3時間レースで持久力を磨きたい、それが理由だが、今考えてみればそれは50%。本当は昨年のリベンジをしたかったのだと思う。

トレイルランが好きなほうだと思う。
前の日に地図とコースプロファイルを見ながらレースをイメージし、補給食や給水をプランニングする。そしてスタート前にキャメルバッグを背負って目前にそびえる山を見上げる。「今からあそこを登るんだ」、その時の高揚感はオリエンテーリングとはまた違う。
昨年の夏、実は5本のレースに出た。青梅、箱根、北丹沢、富士登山そして御嶽。どれも散々な結果だった。このブログで箱根以外ほとんど触れなかったのもそのせいかもしれない。いいレースでもトップの+25%、酷いときは40%以上の差がついた。今思っても何故そこまでスランプだったのかわからないが、とにかく走ることにまったく自信を失ったシーズンだった。

トレイルはもうこりごりと、オリエンテーリングに回帰した。そうしたら秋から調子があがった。自分でも気持ち悪いくらいに順調に行って全日本をつかんだ。そして今の自分はWOCに向けてオリエンテーリングに集中している。
だったら、今トレイルを走ったら?
もう少しましな自分がいるんじゃないか?そういう単純な動機が実は50%だ。

赤城山トレイルラン大会は、オリエンティアが中心になって開催しているが、そのことを差し引いてもいい大会だったと思う。
昨年の大会の後柳下君がいいコースだと褒めていたが、たしかに厳しすぎず、中盤はトレイルの変化がある。後半下りはスピード感があって快適だし、全体に景色もよい。そして、なんといっても満開のツツジのトンネルを走り抜けるのが気持ちいい。会場は欧州風の青々とした草原の屋外ステージ。
今年は昨年より大分参加者が増えたらしい。選んだ季節が良かったのかもしれない。
「富士登山の練習に調度いい」そんな声もがスタート前に聞こえていた。「今年良かったら来年以降もでようと思う」といった人もいた。きっとリピータになるに違いない。

エントリーリストを見ると、招待選手を初め、かなりそうそうたるメンバーがエントリーしている。山耐を8時間台で走りそうな人だけでも片手では納まらない。これは10位は厳しそうだ。15位が現実的な目標と定めていよいよスタート。

序盤は心拍がHR170を超えないようにちらちら時計を見ながらペース調整。20番手くらいに自重して最初の急登を歩く。その後、体の動きも良く少しづつ順位を上げていく。終盤に差し掛かり周りの人の声援から7,8位まで順位をあげたらしい。途中道を間違えかけたりしたけど、最後の下りもペースが落ちずにこなせてかなり満足度高くゴール。終わってみれば6位。田中正人さんと7分差、柳下君と2分差。昨年彼らとは何十分も差がつくのが当たり前だったことを思えば、大満足の結果である。
もっとも鏑木さんをはじめ一流選手の欠場もあった分順位はよかったのだろう。それにしてもトップの松本さんは異常に早く28分の差。昨年の鏑木さんより速いらしい。パーセントでいうと17%の差がついた。松本さんの走力は欧州の一流オリエンティアとそれほど変わらないとしても、その差は大きい。WOCを思うとトップ+17%は予選通過にやや厳しい数字。まあ距離も走るフィールドも違うので一概には判断できないが。

帰りは表彰式も見ずに(大会主催者の方々、入賞者の皆さんごめんなさい)、東京にとんぼ帰りした。 5時過ぎには家に着いたので、夕暮れ前に娘を連れて散歩に出た。疲れた脚には調度いい運動になる。
西大井駅前の新幹線が見えるマクドナルドへ。カフェテラスにちょこんと座わらせ、ミルクとホットコーヒーを注文。 ストローを刺して娘に渡した。するとすかさず渡されたミルクを僕のコーヒーに近づけて、

「カンパイ!」
「え?ももちゃん、そんな言葉いつ覚えたの?」
今まで聴いたことない意外なリアクションに驚いた。
「ナンデ、アタリマエデショ?」といわんばかりに笑ってもう一度、「カンパイ」。

二歳児の脳の発達はすさまじいと聞く。考えてみれば今週は娘が起きている間に家にほとんどいなかった。おまけに週末は泊まりで赤城の山に出向いてしまった。すごいスピードでニューロネットワークが発達したに違いない。ほとんど1週間ぶりのお父さんはその成長についていけない。
親がいなくても子供は勝手に育つ、と誰かがいっていた。確かに山を走ってても子供は育つ。
「ア、トケイ」
なるほどね、そんな言葉も覚えたんだ。

華やかな赤城山のツツジが楽しめるのはほんの一瞬。でも一年たてばまた必ず訪れる。
でも娘が発達の過程で見せるきらめきは二度と繰り返さない。
そう思うと細切れで娘の成長を見守っていることに、なんだかちょっと淋しい気分になった。
ごめん、来週は2日間一緒に遠征だよ。



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